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いよいよ新作発売!アンダーワールド:カール・ハイドにインタビュー

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今が旬の様々なアーティストとコラボレートを試み、新しいサウンドを獲得したアンダーワールド。新作『Barking』ではヴォーカル・パートも増え、80年代のニューウェーヴを彷彿とさせる一面やポップでメロディアスな作風が特徴。初めてバラードに挑戦した曲もあります。今回はそのアルバム制作時に聴いていた音楽や、TOMATOを含めたカールの制作活動にインスピレーションを与えてきたもの、さらにペインティング作品のコンセプトについても答えていただきました。新作と合わせてこれら作品をチェックすれば、より『Barking』を楽しめるはず。

●今回のアルバムでコラボレートしているプロデューサー以外で、現在注目しているプロデューサー/アーティストはいますか?

カール・ハイド: アメリカのバンドでヘルス(Health)のアルバム『Get Colour』がとても気に入っているよ。それから女性シンガーのニーナ・ナスターシャ(Nina Nastasia)の新作、エフタークラング(Efterklang)、日本のバンドで友達のMelt-Banana、実はまだあったことないけど(笑)。オーストラリアのザ・ネックス(Necks)もいいね。プロデューサーでいうとブライアン・イーノ(Brian Eno)、長年一緒に活動しているリック・スミス(Rick Smiths)が一番好きだね。


●音楽制作においてインスピレーションを受けた曲はありますか。今回のアルバム、これまでの活動を通してそれぞれ挙げて下さい。具体的に理由もあればお願いします。

カール・ハイド: 今回の作品『バーキング』を作るにあたって非常にインスピレーションを受けた曲は、古い曲だけど70年代のラ・デュッセルドルフ(La Duesseldorf)「La Dusseldorf」だよ。曲を作っている時に何度も何度も聴いたね。それからデヴィッド・ボウイ(David Bowie)の『Low』『Lodger』『Heroes』もよく聴いたよ。
これまでの活動で影響を受けたアルバムは、自分もリックも含めクラフトワーク(Kraftwerk)の『Computer World』になると思うな。今でも覚えているのはソニーのウォークマンが始めてイギリスで発売されたとき、ウォークマンでリックが何度も聴いていたのをよく覚えているんだ。


●TOMATOの活動を始めるきっかけであったり、現在の創作活動の源になっているアーティストや作品などありますか。

カール・ハイド: それぞれ様々なバックグラウンド、趣味趣向、異なる表現形態を持ったアーティストが集まってきてTOMATOを始めたんだ。メンバーはグラフィック・アーティストであったり、物書きであったり、映像監督であったり、ミュージシャンであったりとばらばらで、異なるものから影響を受けてきた者同士が一緒になり、お互いが影響を受けてきたことを教え合い、刺激を与える形で活動をしてきたんだ。
自分が創作活動を行うなかで影響を受けてきたのは、ブラック・マウンテン・カレッジのひとたちだよ。フランツ・クライン、ロバート・マザウェル、ロバート・ラウシェンバーグ、マース・カニングハム、ジョン・ケージなど、彼らからは今でも非常に強く影響を受けているね。


●TOMATOでの活動はもちろん、アンダーワールドの音楽も映像を喚起させるなど視覚面へ高い興味を伺えるのですが、ご自身たちの作品以外で、好きな映像作品や映画があれば教えて下さい。

カール・ハイド: 自分たちの作品に関して言うと、密接にTOMATOとコラボレーションしているので、今回もTOMATOのメンバーが映像を手掛けてくれたよ。あとは学生の中から面白い映像を作っている子を見つけるのも好きなんだ。 Youtubeを見ると、メインストリームの表現方法ではないんだけど、面白い作品を作っている人がいるからね。誰かいい人がいたら紹介してほしいな。
好きな映画はその日の気分で変わるから選ぶのはとても難しいね……。気分がすぐれないときは『Field of Dreams(フィールド・オブ・ドリームス)』を観て元気になるし、ヨーロッパ映画で好きなのは『Italian For Beginners(幸せになるためのイタリア語講座)』だな。日本に来る途中は飛行機の中で、馬鹿げたことが次々起こる『Iron Man 2(アイアン・マン2)』を観たんだけど、そういう娯楽大作も面白いと思うね。自分が映像作品を作るうえで影響を受けたのは60年代の作品で『GRAND PRIX』。スプリット・スクリーン(分割画面)の手法には影響を受けているよ。


●ソロ・ペインティング・エキシビジョンで展示される「Jump Through the Sky Hole」「Dancing in the Wind」のコンセプトを教えてください。

カール・ハイド: まず「Jump Through the Sky Hole」だけど、これはダンボールを使った作品で、そのアイディアはロバート・ラウシェンバーグからきているんだ。彼がそこらに転がっているダンボールを使って作品を作り展示会を開いたんだけど、それをみて自分でもぜひ作りたいと思ったんだ。きっかけは大きい赤い円をイメージできたので、円を描くところから始まった。ただそれだけでは物足りなかったので、そこに黒い線を加え、それでもピンとこなかったので白い線も加えたんだ。そのあとも必要だと思う要素を加えていって、ある朝、パッとその作品を観たときに完成したと思えたんだ。非常にダイナミックな作品だと思うし、どこかロンドンの地下鉄のマークを彷彿とさせる作品だね。
「Dancing in the Wind」を作るきっかけは色からなんだ。ただなかなか上手くいかなくて、「お父さんこの色はよくないわ」なんてアドヴァイスを2人の娘にもらいながら、色を探していったんだ。そのおかげで、今回のエキシヴィジョンでたくさん使っている深い赤色を見つけることができたよ。その深い赤は日本の漆器にも共通するものがあるんじゃないかな。
ペインティングは抽象画家からも影響を受けているし、動きをとらえる未来派画家からも受けていて、マルセル・デュシャンや禅の書道などもインスピレーションになっているね。

 

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掲載: 2010年09月01日 11:24

更新: 2010年09月03日 11:22