ラスト・デイズ・オブ・エイプリル3年振り新作&インタビュー
エモ・シーンに衝撃をもたらしたアルバム『Angel Youth』、あらゆるカテゴライズを超えた作品として大きな話題を呼んだ『Ascend To The Stars』、スタジオ・セッションによる一発録音を敢行、シンプルで曲自体が重要な部分を占める作品に仕上がった 『If You Lose It』、ディストーション・ギターを前面に出したロック色の色濃い『Might As Welle Live』と、作品ごとに前進し続けてきたラスト・デイズ・オブ・エイプリル。
新作『Gooey』は、メロディ・メーカー、カール・ラーソンの本領が発揮され、スウェーデンの空気を感じさせる透明感あふれるサウンドと切なさ一杯のメロディが満載されている。またペダル・スティール、タンバリンやバンジョーなどが印象的に使用されているほか、ピアノやオルガンも華を添え、新たなサウンドを披露しているのも特徴。今までになく、じっくりと聴かせる作品に仕上がっている。
<日本盤の仕様について>
★日本オリジナル・ジャケット
★ボーナス・トラック2曲収録
★エンハンスドCD仕様:レコーディング風景、ライヴ、カールからのメッセージなど約25分の映像を収録
★解説・歌詞・対訳付
輸入盤国内仕様と輸入盤
LAST DAYS OF APRIL interviewスウェーデンの情景を彷彿とさせる、独特の透明感と浮遊感にあふれたポップソングで人々を魅了するラスト・デイズ・オブ・エイプリル。前作『マイト・アズ・ウェル・リブ』から3年ぶりに発表された新作『Gooey』は、はかなくも美しいメロディを生かしつつも、ペダルスティールやアナログシンセサイザーの導入で、サウンドに深みが増したエナジェティックな作品だ。中心人物であるカール・ラーソンにインタヴューした。(権田アスカ)
--3年ぶりとなる新作『Gooey』の制作に取り組み出したのは、いつごろですか?
「2008年後半に南スウェーデンにあるスタジオでレコーディングを始めたんだけど、そのとき録音した音源でアルバムに収録されているのは2曲だけ(笑)。ほとんどの曲は2009年、ストックホルムの家の近所にあるスタジオに出たり入ったりを繰り返しているあいだに完成した。今回のアルバムは僕自身でプロデュースしたし、レコーディングもほとんど自分で行なったから、これまでより時間がかかってしまったんだ。責任重大で、まるでパイロットになったような気分だったね」
--セルフ・プロデュースしようと思ったきっかけは?
「経験を積んだことですべての作業が昔よりやりやすくなったし、自分でプロデュースしたほうが自分の欲しいサウンドを確実に得られるんじゃないかと思って。でも、最初は大変だったよ。機材などのテクニカルな問題以上に、誰も止めてくれる人がいないから、とことんやってしまう。自分自身に“これで十分だ、最高だ!”と言い聞かせたよ。それをやらなければ、今もまだレコーディングをしていたかもしれない(笑)」
--前作はギターベースの作品でしたが、新作はエクスペリメンタルな要素が色濃いですね。
「常に新たな方向性を見いだしたいし、新しい発見をしたいと思っているからね。以前にもエクスペリメンタルな試みは多少やったことがあったし、前作には欠けていた要素だから、今回、つきつめてみたくなったんだ。だから、2004年頃から一緒に仕事をしている、古いアナログシンセサイザーのエキスパートのマーカスにいろいろ助けてもらった。それ以外にも、新作で主にベースを弾いてくれているジョハンは演奏の仕方がすごくおもしろく、彼の演奏のおかげで自分が思っていなかった方向に曲が進んだのも新体験だった。ほかにもペダルスティールを入れてみるなど、様々なことに挑戦してみたよ」
--アメリカのルーツミュッジック的な「Forget About It」は、これまでにはなかったタイプの楽曲ですが…。
「でも実は、前からやりたかったことなんだ。ザ・バンドの『The Brown Album』(1969年)がずっと好きだったんだけど、どうしたらあんな風にプレイできるのかまったくわからなくてさ。ただ今回、家でなにげなくギターを弾いていたときに、たまたまこの曲が生まれたんだ。異色のサウンドだけど、このアルバムに新しいテクスチャーや幅を与えてくれる気がして、収録することにしたんだ」
--そういった異色の楽曲がありながらも、アルバム全体の流れが非常に美しいなと感じました。
「レコーディングに時間をかけたから、いろんな作業をこなしていく過程で、自分の頭の中で徐々に全体の流れができたのかもしれない。もっとも、大量の楽曲群から選ぶならまだしも、僕の場合は録音した曲のうちの数曲をアルバムには入れないという決断をするだけだったから、作品全体の流れを作るにあたってたいした苦労はなかったよ」
--レモンヘッズのエバン・ダンド、ティーガン&サラのティーガンなど、ゲストも華やかですね。
「彼らとは以前にツアーして以来の付き合いなんだけど、作品でもコラボできたら楽しそうだなと思うようになってさ。エバンは「All The Same」を気に入ってくれて、レコーディングのためにストックホルムのスタジオにまで来てくれた。ティーガンもふたつ返事でOKしてくれて、ヴァンクーヴァーのスタジオで録音したヴォーカルを送ってくれたんだ」
--最後に、『Gooey』というアルバム・タイトルに込めた思いを教えてください。
「10曲目の「What is here for you is what you bring with you」をミックスしていたときなんだけど、まとわりつくようなスローなサウンドになってしまい、“ちょっとグーイーだな”(=ベトベトした、甘ったるい)って思ったんだ。その時点ではまだアルバム・タイトルは考えていなかったんだけど、そのとき感じた“グーイー”という言葉の響きが頭に残り、タイトルにすることにした。だから、作品全体を意味するわけではないよ(笑)」
カテゴリ : 予約
掲載: 2011年01月17日 08:49