【タワレコメン選出】多重奏的文学系バンド“ヒツジツキ”
ヒツジツキは、2005年12月に鴨川のほとりで決起。メンバーは神戸/大阪/京都の関西三都在住。窓辺の多重奏を唄う文学系スリーピースシープバンドである。 本作は2010年に発表された『rumpus room』に続く〈地下室の君の三部作〉の第2弾。前作に登場した女の子が地下室のクローゼットに隠していた物語がテーマとなっている。
【プロフィール】
2005年12月結成。神戸・大阪・京都の関西三都に在住し、窓辺の多重奏を唄う文学系ギターロックの雄。高校時代より小説執筆を趣味としていたG&Vo堤の詩世界と、その類い稀なる楽曲の完成度、擦り切れるように歌うハイトーンボイス、繊細な物語を大胆に表現する三人の絶妙なバンドアンサンブルにより、全国的に支持を広げ続けている最重要スリーピースバンド。昨年の「RO69 JACK」入賞も果た し、今、急速的に注目を集めている。
「花とピストル」ビデオクリップ
『closet classic』収録曲&楽曲紹介
1. 花とピストル
水辺に咲いた棘の花。空が灯す雲の色。伸ばした腕の大きな傷痕。
それでも花を見つければ、僕らはまた腕を伸ばすだろう。傷付くと知っている。届かないとも知っている。
例え痛みを伴うとしても、華やかなものに憧れ、手に入れたいと願ってしまう底深い人の欲求。
2. butterpink,endroll
誰にも必要とされない人間の思いは、どれほど濃い色でも夜空の黒に溶けるだけ。
誰かがカスタネットを叩いてくれるなら、僕だってもっと歌うのに。
きっと誰もいないんだろう。それでも会いに行ってみよう。
今日は誰かがいるかもしれない。明日は君がいるかもしれない。
3. 雨降
見たくないものは見ないふりをした。捜していたものは忘れたふりをした。
まるで僕らは、雨の日に放り投げたあのかくれんぼを、今も続けているようだ。
終わらせていないその遊びは、まだ傘の中で暗い影を落とし続けている。
青空はいつやってくるのだろうか。いつか本当にやってくるのだろうか。
諦めた君がまたひとり、背を向けて遠くなっていく。
手を振って、手を振って、ばいばい。手を振って、手を振って、ばいばい。
それでも僕は、傘を捨てた青空を夢見ている。
せめて今日だけは、暗い影を捨て雨にも当たろう。
4. forest for the trees
バス停の光、君が歌う歌、左手のライター、右手はまだ繋いだまま。
教科書を捨てた君と。夏の午後に、煙が上がる。
5. トュタタ~スウィートソング・オーケストラのテーマ~
星空に上がった彼らは、暗い空で楽団を組んだ。
彼らは心配する。遺した人の悲しみを。
そして今夜もまた、ある少年へ演奏の幕が開く。
半透明の空気の獣が、閉じた鉛色の窓を開ける。
それを合図に、鼓笛隊が星を打ち鳴らす。
そのリズムに合わせ、かの少女は歌う。
「いつの日か笑って、君とまた歌いたい」
それだけをただ、伝えるために。
6. 図書館は朝を待つ
図書館は見ていた。
本棚の隅っこから、蛍光灯の付け根から、本のページの隙間から。
届くようで届かない、彼と彼女のもどかしい時間。
さて今日も彼らは去り、そろそろ午前0時の鐘が鳴る。
また朝になったら、彼らは二人で来るのだろう。
彼らに代わって重なっている、机の上の二冊の本は、
一体どんな思いを抱き、これから朝を待つのだろうか。
今はただ二冊の本と共に、彼らの帰りを、待つとしよう。
7. 最終ベル
分岐点に立つ人。
その未来に希望があることを祈って、さようなら。