【タワレコメン】oono yuuki、会心のセカンド・アルバム
全国のタワー・スタッフが、己の<耳>と<直感>だけを信じて選んだ、まだ世間で話題になる前のアーティストを、いち早くピックアップする“タワレコメン”なのだっ!
ファースト・アルバムのレコーディングを機にバンド編成でのライブ活動を本格化し、現在は総勢9名の大所帯バンドとして活動するoono yuuki。今作もそのメンバーにより、前作同様GOK SOUNDの近藤祥昭氏をエンジニアに迎えレコーディングが行なわれた。
アルバム冒頭、ユーフォニウム、チェロ、フルートの長い音に、楔を打ち込むようなスネアの音が一つ、それを合図に全ての楽器が一気になだれ込む。生楽器のミニマルなアンサンブルと、エレキギターの轟音が同時に鳴る様子はまるで、部屋の外に追い出された室内楽団が嵐の中でやけくそになって演奏しているようだ。トランペットやスチールパン、ユーフォニウムなどが新たに加わった今作は、数多くの楽器を大部屋で同時に録音することで、全体的にクリアでそれぞれの音が粒だった印象を受ける前作よりも、個々の音が混然一体となって一つの大きなうねりを感じさせるものに仕上がっている。
唱歌や童謡を連想させるシンプルなメロディの上に反復するフレーズが重なり音の渦になっていくようなインスト曲の他に、フィンガーピッキングで紡がれるフォーキーな歌ものも数曲収録されており、インスト曲にも通ずる世界観を静かに歌ったそれらの曲はアルバム全体の振れ幅をより大きなものにしている。「現代音楽からパンクに、ニューウェーブからちんどんに橋を架け、なおかつそれを甲子園のアルプススタンドで演奏する」そんなイメージが形になった今作『TEMPESTAS』。
あざやかに吹き荒れる嵐の季節のような、まさに渾身の傑作が誕生した。
『TEMPESTAS』Tracklist
01 lotus
02 fuga
03 弓を放つ
04 sahara
05 静かな朝
06 夜の光
07 farewell
08 8bit parade
09 鳥と嵐