ハントレス、渾身のセカンド・アルバム
アメリカ、カリフォルニアはハイランド・パーク出身、オペラ歌手の経歴を持つ紅一点のヴォーカリストを擁するハントレス。ニューヨーク出身のフィメイル・シンガー、ジル・ジェイナスは14歳でオペラ歌手としてヨーロッパ・ツアーを行う等ロックとはかけ離れた活動と経験を持つ。
幼い頃からメタルに傾倒し、スイサイダル・テンデンシーズ、ペンタグラム、ジューダス・プリースト、ブラック・サバス、キング・ダイアモンドにはまっていった彼女はいつしかメタル・バンドでの活動を目指していくようになる。そしてロサンゼルスでバンド結成を目論んだ彼女はプロフェッサー、ダーク・ブラックらのメンバーとハントレスを結成する。2010 年に3曲入りEP「Off With Her Head」をリリースすると精力的なツアーに励んでいく。
そして、2012年4月、デビュー・アルバム「Spell Eater」を完成させたバンドは世界的なデビューを果たす。4オクターブを越える音域を駆使したハイ・トーンとデス、グロウルの声も歌いこなすジルを中心に据えたバンドは、自ら「メロディック・デスラッシュ」と表現する激烈さを極めた音楽性で占められたサウンドで注目を集め、シーンに大きなインパクトを与えた存在となった。しかし、その音楽性よりもジルの衝撃的なルックス、コスチュームの方に目線が集まりすぎた感も正直否めなかった。その後、様々なバンドとのツアーを敢行し、そのライヴを含む経験値が彼らの大きな糧となり、次のステップへと大きく繋がることになる。
若干のメンバー・チェンジを経て、よりヘヴィ・メタルに忠実で、オーソドックスなメタルを目指したバンドはLAのHobby Shop Studiosにてレコーディングを開始する。プロデューサーはシャドウズ・フォール、ヘイトブリード等を手掛けたクリス・ハリスを起用。アートワークには前作に引き続き、ヴァンス・ケリーが担当(スレイヤー、ゴーストB.C.、マストドン)した。完成したアルバムは楽曲の精度が飛躍的に上昇、プレイ、サウンド・クオリティと格段の進歩を遂げていることがすぐに確認できるであろう。約1年でのこの成長振りには正直驚かされる。収録曲の「I Want To Fuck You To Death」はモーターヘッドのレミー・キルミスターがジルのために書き下ろした歌詞。「ジルの声を初めて聴いたときは正直驚いたよ。この曲は彼女にインスパイアされ、彼女のために書いた曲さ」byレミー。
他とは完全に一線を画す強烈な個性と志高きヘヴィ・メタルを聴かせる超本格的なバンドへと前進を果たしたハントレス渾身のニュー・アルバム。よりハイ・レベルな次元へとバンドを引き上げることに成功したバンドは、この強力なセカンド・アルバムを持って、6/29から8/4 のダラスまで北米ツアーを行う。音だけで勝負できるバンドへと変貌を遂げたバンドには、もはや妖艶なルックスだけの注目は必要ない。
タグ : ハードロック/ヘヴィメタル(HR/HM)
掲載: 2013年08月12日 15:53