スリップノットUSツアーに参戦!最凶ブルータル・バンド、キング810
全米で最も危険な都市とFBIにより発表されたミシガン州の“忘れ去られた街”、フリント。そこから新たなへヴィ・コア・バンドが登場した。あのロードランナーが賛否両論、物議を醸しだすのを覚悟で世に送り出すのは、激リアルなブルータルなへヴィ・コア・バンド、KING810だ!
彼らの生まれ育った街と同じぐらい、いやそれ以上に危険だと言われているのが、彼らのライヴ。彼らが演奏を始める前からモッシュピットは大暴れする猛者どもで溢れ、そこから派生した喧嘩や暴力沙汰でライヴ自体が中止に追い込まれたのは一度や二度のことでない。さらに度肝を抜くのはそのステージ。脛に「KING810」とタトゥーを入れたメンバーに、なぜかステージ脇にはマシンガンらしきものをもった男たち。この物々しい物騒なまでの迫力もまた、キング810なのである。
『MEMOIRS OF A MURDERER』と名付けられたこのデビュー・アルバムは、そのアメリカで最も危険な街の一つであるフリントで生まれ、その街で生き残った者ならではの、暴虐無道なへヴィコア・サウンドと独白的な歌詞が詰まっている。
フロイトの心理学にある「自我・エス・超自我」を基にした3部構成の本作には、9歳で銃の打ち合い、そして10代になるかならない頃にナイフで喧嘩に加わるなど、フリントのストリートにはびこる暴力をリアルに捉えている。血塗られた現実をそのまま歌にした「Killem All」、「Fat Around The Heart」こそがその一例である。
そしてヴォーカルのデヴィッド・ガンによる最初のスポークン・ワードの後には、荒々しい男たちの絆を謳ったテーマから一転、「Eyes」、「Devil Don't Cry」など失われた愛がテーマとなった曲が並ぶ。しかし、その後に続く2つ目のスポークン・ワードで再びサウンドスケープは再び荒んだストリートに戻っていく。そしてアルバムを締めくくる「State of Nature」で、デヴィッド・ガンは贖いではなく、これを覚えておいてほしいと聴く者に訴えるのだ。
本作『MEMOIRS OF A MURDERER』は同時にキング810のデヴィッド・ガンの回顧録でもある、背筋の凍るような詩的で、内省的、そして赤裸々なまでに率直な歌詞世界がこれでもかというヘヴィで暴力的なサウンドに塗り固められている。最凶の無法者だからこそ語れる極上のレッドネック・ノワールと、残虐なまでにヘヴィなサウンドがここにあるのだ。
タグ : ハードロック/ヘヴィメタル(HR/HM)
掲載: 2014年10月20日 10:55