キャプテン・ビーフハート、4枚組CDボックス『Sun Zoom Spark: 1970 to 1972』
1960年代後半から沸き起こったアメリカ西海岸におけるサイケデリック・ミュージック・シーンの最重要アーティストの一人、キャプテン・ビーフハート。彼がザ・マジック・バンドとともにレコーディングした3作のアルバムに、その当時のアルバム・アウトテイクを集めたディスクを加えた4枚組CDボックスがリリース!
収録される3枚のアルバム『LICK MY DECALS OFF, BABY』(1970年作品)、『THE SPOTLIGHT KID』(1972年作品)、『CLEAN SPOT』(1972年作品)は全てリマスター音源!この3作がリマスターされるのは今回が初めて!
1970年10月にリリースされた『LICK MY DECALS, OFF』は、キャプテン・ビーフハートことドン・ヴァン・ヴリートが個人的にも気に入っていた作品とされる。1970年の夏にハリウッドでレコーディングされた本作は、彼の不協和音スタイルの頂点とも呼べる作品で、「I LOVE YOU, YOU BIG DUMMY」や美しいギター・ソロが印象的な「ONE RED ROSE THAT I MEAN」などが収録されている。
続く『THE SPOLIGHT KID』は、1971年夏ロサンゼルスのレコード・プラントでレコーディングされた。「CLICK CLACK」や「I'M GONNA BOOGLARIZE YOU BABY」、そして「ALICE IN BLUNDERLAND」といったブルース・ロック・サウンドがよりフィーチャーされた作品で、当時のローリング・ストーン誌もその「ウィットと天才性」を絶賛したという。
1972年夏にレコーディングされた『CLEAR SPOT』は、繊細なラヴ・ソング「MY HEAD IS MY ONLY HOUSE UNLESS IT RAINS」やソウル・バラード「TOO MUCH TIME」、そしてビートが脈打つ「BIG EYED BEANS FROM VENUS」などをフィーチャーした1972年作品である。
4枚目のディスクに収録されるのは、14曲もの未発表曲を集めたもの。別ヴァージョンや、リハーサル音源、アルバムからのアウトテイクなど、『THE SPOTLIGHT KID』と『CLEAR SPOT』のレコーディング・セッションから生まれた音源が収録される予定になっている。これらの楽曲は、彼らの楽曲がアルバムに収録されるまでに、どれだけの進化、変化を遂げていった、その過程を垣間見える貴重な機会となるに違いない。特筆すべきは、後に『BAT CHAIN PULLER』にスポークン・ワード・ヴァージョンが収録されることとなる、「I CAN'T DO THIS UNLESS I CAN DO THIS / SEAM CROOKED SAM」の歌唱ヴァージョンや、1982年の『ICE CREAM FOR CROW』に収録されることとなる「THE WITCH DOCTOR LIFE」のイントゥるメンタル・リハーサル・ヴァージョンなどがあげられるだろう。
奇才をより深く知るための、4枚組BOX SET。それが本作『SUN ZOOM SPARK 1970 TO 1972』である。