ディアンジェロ、14年振りのアルバム『ブラック・メサイア』
海外メディアを通じて急激に広まっていたディアンジェロのニュー・アルバム緊急発売の噂が、遂に現実のものとなった。2000年に発売され、日本を含む全世界で高い評価と人気を得た名作『Voodoo』以来実に14年振りとなる作品のタイトルは“Black Messiah/ブラック・メサイア”!!
今回ディアンジェロはこのプロジェクト名を“D’Angelo and TheVanguard/ディアンジェロ・アンド・ザ・ヴァンガード”としている。この作品のリリースに際し、ディアンジェロ本人は以下の声明文を発表している。
「“ブラック・メサイア”は、アルバムに付けるものとしては、とんでもないタイトルだ。容易に誤解を招くであろうし、多くの人は宗教的な事を想像するだろう。人によっては俺が自分自身を“ブラック・メサイア=黒い救世主”と呼んでいるものと決めつけるかもしれない。だが、俺にとってこのタイトルは俺達みんなについての事を意味しているんだ。それはこの世界全体についての事でもあるし、俺達みんなが目指すことのできる考え方を示すものでもあるんだ。俺達は皆、“ブラック・メサイア”になれるように志すべきなんだ。それは、“ファーガソン”(=ミズーリ州セントルイスにあるこの地で2014年8月丸腰の黒人少年を群の警察官が射殺したことをきっかけに起った抗議デモ、暴動について言及している)や、“エジプト”(=2011年に起ったエジプト革命に言及している)や、“ウォール街を占拠せよ”(=2011年にウォール街で起こったアメリカ経済界、政界に対する一連の抗議運動を主催する団体名、またはその合言葉について言及している)その他、これ以上我慢がしがたい状況に対して変化を求めるべく決起している全ての場所の全ての人々についての事なんだ。それは一人のカリスマ性のあるリーダーを称賛するということではなくて、大勢のそういった人々を讃えるということなんだ。このアルバムの全曲が政治的メッセージ色の強いものではないけれど(多くの曲がそうではあるけれども)、このアルバムを“ブラック・メサイア”と呼ぶことがこれらの曲が一番しっくりくる風景を作りだしている。“ブラック・メサイア”は一人の人を示すものではない。それはまとめると、俺達みんながそのリーダーなんだという感覚を示すものなんだ」
12曲が収録されている本アルバムにはQティップ(ア・トライブ・コールド・クエストのフロントマン)、ケンドラ・フォスター(ファンカデリックのヴォーカリスト)が歌詞を手掛ける曲が収録されており、その他にもクエストラヴ(The Rootsのドラマ―、DJとして知られ、エルヴィス・コステロ、ディアンジェロ、エリカ・バドゥ、ジェイ.Z、アル・グリーン他著名作品にてプロデューサーとしても活躍)、ピノ・パラディーノ(ザ・フーの再結成の際、ジョン・エントウィッスル没後最初にバンドに招かれたべーシストとして知られ、ジョン・メイヤー・トリオのべーシストも務める) 、ジェームス・ガッドソン(ビル・ウィザ―ス、クインシ―・ジョーンズ、ハービー・ハンコック他数々の著名アーティストの作品に参加する伝説的ドラマ―)等超豪華ミュージシャンが参加している。なお、ディアンジェロはこれら参加するアーティストに敬意を表し、総称して“The Vanguards/ザ・ヴァンガ―ズ”と呼ぶこととし、今回のプロジェクト名に加えたという。また、今回のアルバムはそのレコーディングからミキシングに至るまで、ヴィンテージ機材を駆使し、全て完全なるアナログ手法で制作されたという肝の入れようだ。ファンにとっては14年間待った甲斐のある作品であることは間違いなさそうだ。