デスコア・シーン大注目のバンド、ザイ・アート・イズ・マーダー
近年、エクストリーム・ミュージックの新たな震源地として注目を集めているのがオーストラリアだ。パークウェイ・ドライヴやジ・アミティ・アフリクションといったメタルコア・バンドが世界的なブレイクを果たそうとする昨今、とどめの一撃と目されているのがザイ・アート・イズ・マーダーである。
シドニーで結成した彼らは2010年に『The Adversary』(2010)でアルバム・デビュー。メンバー交替を経て、現在の最強ラインアップとなった彼らは『ニュークリア・ブラスト』レーベルと契約を交わし、『ヘイト』(2013)で日本を含むワールドワイド・デビューを果たしている。『メタル・ハマー』誌で“最優秀新人”にノミネートされるなど、注目を集めている彼らが世界に問うサード・アルバムが本作『ホーリー・ウォー』だ。
「身震いするような、生きていることを恥じたくなる世界の出来事」とギタリスト、アンディ・マーシュが語る本作。その矛先は宗教や政治、戦争、差別、虐待などに向けられ、憤怒と憎悪、絶望と呪詛をエネルギーに変えて襲いくるサウンドは、過去2作と較べても激化している。
スピードとグラインド感を兼ね備え、無慈悲に刻むギター・リフとヴォーカルの咆吼をフィーチュアした本作は、ブラスト・ビートとブレイクダウンの緩急も過剰なほどのドラマ性を駆り立てる。「ファー・アンド・クロウ」でのブレイクはほとんど人力によるダブステップ的なアプローチで、聴く者を自らのグルーヴの深い闇へと引きずり込んでいく。アルバムのプロデュースには、スーサイド・サイレンスやエグジュームド、ヴィジョン・オブ・ディスオーダーなどを手がけてきたウィル・パットニーを起用。殺傷力を増したヘヴィネスで世界に“ホーリー・ウォー=聖戦”を挑む。
本作の発表に伴い、彼らは5月からヨーロッパで“オーストラリアン・テイクオーヴァー”と題したツアーを開始。ドイツ、オランダ、スウェーデン、デンマーク、ハンガリー、オーストリア、イタリア、チェコ、フランス、ベルギー、イギリスの11カ国/23公演を5月だけのたった一ヶ月で敢行し、同郷のアヴァージョンズ・クラウンをサポートに起用してのヘッドライナー・サーキットは、“汝の技(わざ)は殺害”というバンド名のとおり、ヨーロッパ全域を焦土にするだろう。彼らのデスコア大襲撃が日本を蹂躙するのが、『ホーリー・ウォー』だ。