映画『バードマン』の音楽も担当、パット・メセニーが信頼するアントニオ・サンチェスの新作
マイケル・ブレッカー、チック・コリア、ゲイリー・バートンという数々のレジェンドのグループで活躍。パット・メセニーが全幅の信頼をおき、10年以上にもわたって自らのグループの欠かせぬ存在として才能を認める現代最高峰のドラマー、アントニオ・サンチェス。
映画『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』の音楽を担当。ドラムのみで、登場人物の心理の機微までをも演出し、音響によって各々の視覚的なシーンを印象づける効果を生み出してしまうその創造性は、あらゆる音楽ファンを驚かせました。
そんなサンチェスが大ヒット作『スリー・タイムズ・スリー』に続き、自らのパーマネントなグループ=マイグレーションで送り出す新作がこの『メリディアン・スイート』。
『メリディアン・スイート』は、サンチェス自身が「今の自分にとって最も洗練されていて野心的なもの」と語っています。本作の原点は2012年のパット・メセニーとのツアーの途中、ミシシッピー州のメリディアンであったとのこと。溢れるアイディアは、一気に化学反応を起こしてスパーク!断片であったパートは絡み合って一つの壮大な物語となりました。
ミニマルな反復するピアノに導かれて幕を開ける音楽は、プログレッシブ・ロックのような先鋭性とジャズ的な即興が刺激し合いながらも、美しいメロディ・フローが、聴くものをノスタルジックな映画の一場面にでも誘うような場面あり。かと思えば、エレクトロなアプローチで近未来へ一気にトリップしたり、プリミティヴなカオスに迷い込んだり。しかし、それらは、すべてサンチェスの壮大な構想の元に、練られたもの。ラストはオープニングのピアノ・フレーズがテンポを変えて再登場し、音楽世界はさながら長編小説のようにドラマを生んでいきます。
前作からマイグレーションのメンバーに加わったジョン・エスクリート、マット・ブリューワーに加え、新たに、90年代から頭角を現したシーマス・ブレイクを迎えた、NYの才能が集結した超強靭な布陣。“壮大にして緻密な構想”と、信頼するメンバーと“瞬間”を楽しんで相乗効果を生み出した最高峰の結晶であり、音楽の新しい一頁を感じさせる重要作品です。
メンバー:
Antonio Sanchez(drums, keyboards and vocals)
Seamus Blake(tenor saxophone, EWI)
John Escreet(piano, fender rhodes)
Matt Brewer(acoustic & electric basses)
Special Guests: Thana Alexa(vocals)
Adam Rogers(guitars)
掲載: 2015年05月12日 10:04