イタリアの奇才ドナート・ドジーによる口琴トロニカ傑作アルバム
パノラマバーでのレジデント、野外フェス「ラビリンス」での度重なる来日、「アシッド・テスト」シリーズへの参加、フランソワK「ディープ・スペース」へのフックアップ、ヴォイシズ・フロム・ザ・レイクとしてのEditions MegoやPrologueからのリリースなどなど、テクノを軸としながらもクラブ・ミュージックのフィールドを越えた幅広い活動を展開し人気を博しているイタリアの個性派エレクトロニック・プロデューサー、ドナート・ドジー。
その待望の最新アルバムは、彼が子供のころから自宅に眠っていたというマウスハープ(口琴、アジアに広く伝わる笛の一種で、口腔内で倍音を発生させ音を鳴らすもの)を全面的にフィーチャーしたメディテーティヴでトランシーな口琴アンビエント作品に。
どこかディジリドゥーを思わせる、そう、まるであのエイフェックス・ツイン初期の名曲「Digeridoo」をノンビートでモダンアップデートしたかのような、突出した音色を持つカテゴライズ不能な実験的なエレクトロニック曲を満載。
2010年に本作発売元でもある米シアトルのFurther Recordsからリリースしたドナート・ドジー名義でのデビュー・アルバム『K』は世界中の音好きたちを熱狂させ、彼の名声をミニマルなダンスフロアの外へと押し広げたが、本作は、その衝撃をはるかに上回る、多くのファンの期待にバッチリ応えた入魂の一枚。
口琴を駆使しながらフィールドレコーディングを巧みに織り込み全くユニークな電子の仕掛けをほどこした、アルバム・タイトルに偽りなし、まさに静謐ながらも圧倒的にラウドな存在感を放つ、呪術的で中毒性の極めて高い、聞き込むほどにドツボにハマるこのサウンド!
ハイエログリフィック・ビーイング、エコープレックス、アイビーからコンラッド・シュニッツラーまでを手掛ける米シアトルの前衛レーベルFurther Records。ダンスフロアと実験室のどちらにも片足を突っ込んだいかにもこのレーベルらしい、KrankyやEditions Megoなどのレーベルを追いかけているファンに是非チェックしてほしいアルバムです。
タグ : クラブ/テクノ
掲載: 2015年12月08日 21:51