ブルーグラス・シーンを牽引するギタリスト、マイケル・デイヴスの新作がNonesuchより登場
現代のブルーグラス・シーンを牽引するギタリスト、マイケル・デイヴスによる壮大なブルーグラス・エクスペリメント・アルバム『ORCHIDS AND VIOLENCE』がNonesuch Recordsより発売!
パンチ・ブラザーズやニッケル・クリークで活躍する天才マンドリン・プレイヤー、クリス・シーリとのコラボレーション・アルバム『SLEEP WITH ONE EYE OPEN』が2011年、グラミー賞にノミネートされて注目を集めた彼が、意欲的なアルバムを完成させた。『ORCHIDS AND VIOLENCE』と名付けられた本2枚組CDは、ブルーグラスのトラディッショナル・ナンバーを、2つの異なる解釈で演奏した作品である。
収録されている楽曲は、Disc1、Disc2共通となっている。ただ、CD1が“ブルーグラス”、CD2が“エレクトリック”と名付けられているように、それぞれの楽曲が2つの異なる解釈で演奏され、同じ曲でありながら、それぞれのディスクが持つ音楽的趣は全く異なったものとなっている。
ちなみに、楽曲はビル・モンローやラルフ・スタンリーなどのトラディッショナル・ブルーグラスが中心だが、唯一の例外として、マザー・ラヴ・ボーンの「Stargazer」が収録されている。
CD1の“ブルーグラス”は、19世紀に建立された教会で、デイヴスと、アメリカン・ルーツ・ミュージックの最前線に立っているミュージシャンたち(ベーシスト:マイク・バブ、ヴァイオリン:Brittany Haas、マンドリン:サラ・ジャロスツ、そしてパンチ・ブラザーズのメンバーでもあるバンジョー・プレイヤー:ノーム・ピケルニー)と一緒にライヴ録音したもの。ちなみに、エレクトリックを使わないのが“ブルーグラス”の定義の一つでもあるので、ここでの演奏は全てアコースティックである。
CD2の“エレクトリック”は、CD1とは打って変わって、アンプに楽器を繋げた、実験的とも呼べるロックっぽいアレンジと編成になっている。こちらデイヴスのホーム・スタジオで収録され、ほとんどの楽器を彼自身で演奏したという。
いずれのCDもジャック・ホワイト、キングス・オブ・レオンなどを手掛けたバンス・パウエルがミックスを手掛け、さらに演奏面でもスペシャル・ゲストとしてアメリカン・ミュージック界の大御所バンジョー・プレイヤー、トニー・トリスカ(チェロ・バンジョー)が、そしてデイヴスの妻であるジェシー・カーターがエレクトリック・サイドにベーシストとして参加している。
ブルーグラスを演奏しながら、ジャズや実験音楽、ロックまで幅広く演奏してきたマイケル・デイヴスならではの、ブルーグラスの意欲的であり、実験的でもあるアルバム『ORCHIDS AND VIOLENCE』。アメリカン・ミュージックの懐の深さと可能性を存分に味わうことが出来る作品である。
掲載: 2016年02月17日 12:47