美人ヴォーカル=サラ・レンカ、マヌーシュで試みたベッシー・スミス・オマージュ
2008年にリリースされた『Am I Blue』が話題になったサラ・レンカの最新作。美しいジャケ写も話題になり、ポートレイトは、雑誌Jazz Perspectiveの表紙も飾り話題になりました。
そんなサラ・レンカが、なんと、あのベッシー・スミスの世界に挑んだのが、本作。フランス人ならではの洒落たエスプリとコケティッシュな感覚が相まったレンカのヴォーカルと、ブルース・シンガーのレジェンド、ベッシー・スミスとのつながりは、一見不思議なものがありますが、アレンジを聴けば納得。バンジョー、ドブロ・ギターを大フィーチャーし、スウィンギーな2ビートのリズムをとりいれるなど、マヌーシュ的な色彩もミクスチャーしていくのです。
もちろん、主人公はサラ・レンカ嬢。その可憐さは忘れていませんし、女性らしい魅力もいっぱい。アメリカのカントリー的な雰囲気も見せつつ、一味違うちょっとスタイリッシュなオシャレさは、やはりおフランス。夢見心地なスロー・ナンバーなど、優雅な雰囲気が漂います。
アメリカが生んだブルース、フランスを中心に広がりを見せたマヌーシュ、土地に生まれたソウルを語る音楽を共通点/キーとして、描き上げた不思議な魅力をもった一枚。今回もジャケの美しさが光ります。
メンバー:Sarah Lenka (vo), Fabien Mornet (Banjo, dobro), Malo Mazurie (tp), Manuel Marches (b) , Taofik Farah (g)
サラ・レンカ『I Don't Dress Fine: Sarah Sings Bessie Smith』をリリースするレーベル〈Jazz&People〉の今を語る2作品
Awake / As We Fall
結成5年を迎えるカルテット、Awakeが、話題のJazz & Peopl eからリリースする作品。編成は、テナー、ギター、ピアノ、ベース、ギター。90 年代、ブルックリンで展開されたポスト・トリスターノ的なサウンドの延長線上といえるサウンドはマーク・ターナー、カート・ローゼンウィンケルといったメンバーの影響を感じさせます。
Christophe Dal Sasso / Les Nébuleuses
1968 年生まれ、今や中堅~ベテランとなったフランス人リード奏者、Christophe Dal Sasso のリーダー作。
10年ほど前、フランスの主要レーベルとして数々の新人を輩出したNocturne を中心に作品をリリースし、デイブ・リーブマンの参加作や、ベルモンド兄弟などとの共演作が話題になっていましたが、本作も、気骨あふれる演奏を貫く姿勢が感じられます。
メンバーは、David El-Malek、またPierre de Bethman といったフランスの主流派~アート派の面々、そしてドラマーは、ジョヴァンニ・ミラバッシのトリオ他、フランスを中心に活躍するLukmil Perez Herrera といったメンバーが参加。プログレッシヴ・ロックや、クラシック的な要素もミクスチャーされたモーダルなスピリチュアル系サウンド。今では懐かしい存在となりつつあるLabel Bleuあたりの路線を今も引き継ぐ演奏があります。
掲載: 2017年01月11日 11:01