メタル界震撼のオールスター・バンド、シンセイナム(Sinsaenum)最新EP『Ashes』/ 日本盤限定トラックとしてAA=の上田剛士リミックスを収録
あのシンセイナムが帰ってきた!
今回リリースとなるのが『アッシュズ』というEP。といっても日本盤は全9曲入り、40分というフルレングス並みの長さ。3曲の純粋な新曲に加え、「デッド・ソウルズ」(『エコーズ・オブ・ザ・トーチャード』収録)のリミックス・ヴァージョン、及び「ディジェネレーション」と「キング・オブ・ザ・デスパレート・ランズ」(どちらも『エコーズ・オブ・ザ・トーチャード』の日本盤にボーナス・トラックとして収録)の計6曲が、海外盤の仕様だ。日本盤はこれらに加え、さらに3曲のボーナス・トラックが追加される。
「シンセイナムとしてのアイデンティティを明確にする作品」という、フレデリクの言葉が、このEPをよく物語っている。本作では、デビュー・アルバムで顕著だったモービッド・エンジェル色は薄れ、シンセイナムとしか形容のできないオリジナリティが、一気に確立されているのだ。まず全体的に暗さ、不気味さが増し、ブラック・メタル的雰囲気が顕著になっているが、これはMaxime Taccardiによるアルバム・アートワークにもよく表れている。一方「アランホールズワースへのトリビュート」という、フレデリクによるジャズ/フュージョン的ギター・ソロ・アプローチが、そんな暗さと見事なコントラストを生み出している。またドラムに顕著な、クリーンすぎない荒々しい音質の追求も功を奏し、全体的なパワーもデビュー・アルバムから倍増。デビュー作は、90年代の良さを最近のファンへと知らしめる懐古的一面を持つ作品であったのに対し、このEPでシンセイナムは、確実に未来へ向かって歩み出したと言える。
日本盤ボーナス・トラックも興味深い。「デッド・ソウルズ」の"リミックス"と、上田氏による"リミックス"では、"リミックス"の意味が違う。前者が単に楽器間のバランスや音質を変えただけの、いわゆるミックスをやり直したという意味の"リミックス"であるのに対し、後者は新たな楽器の追加や曲構成の変更までを伴った"リミックス"である。上田氏は『エコーズ・オブ・ザ・トーチャード』収録の100%ピュア・デス・メタルの楽曲に、打ち込みドラムやディジタル・シークエンス、さらにはヴォーカロイドまで導入。遊び心いっぱいのリミックスに仕上げている。フレデリクと上田氏は、雑誌の対談で知り合い、今回のコラボレーションが実現したとのことだ。さらに、フレデリクの個人的秘蔵アーカイヴからの1曲、「キング・オブ・ザ・デスパレート・ランズ」の98年のデモも必聴。もちろん個人的に作られたデモであるから、ドラムも打ち込み、音質もローファイだが、ここではフレデリクによるブラック・メタル風のヴォーカルを、たっぷり堪能することができるのだ!
真のスーパースター・デス・メタル・バンド、シンセイナム。第2章のスタートとなる『アッシュズ』EPは、超一流のアーティストが結集し、本気で作った超一流のデス・メタル作品である。
【メンバー】
フレデリク・ルクレール [ドラゴンフォース](ギター/ベース/シンセサイザー/ヴォーカル)
ジョーイ・ジョーディソン [ヴィミック/元スリップノット](ドラムス)
アッティラ・チハー [メイヘム](ヴォーカル)
ショーン・Z [ドス/キマイラ](ヴォーカル)
ステファン・ビュリエ [ラウドブラスト](ギター)
ハイモット [セト](ベース)
タグ : ハードロック/ヘヴィメタル(HR/HM)
掲載: 2017年11月09日 09:37