9月28日公開:CLASSICバイヤーによるセレクト・アイテム〈CLASSICマスターズチョイス〉
2018年9月28日公開
ラトルの意図を十全に表現した圧巻のバイエルン放送響、コジェナーの圧倒的な歌唱!
【公式PV】Simon Rattle - Lied von der Erde (Von der Schönheit) mit Magdalena Kozena
2018年6月でベルリン・フィル首席指揮者・芸術監督を退任、2017年9月からすでにロンドン響音楽監督としての活動を開始しているサー・サイモン・ラトル(1955.1.19-)。このマーラー『大地の歌』は、バイエルン放送響との2018年1月ライヴで、ワーグナー『ラインの黄金』(2015年ライヴ)に続く第2作にあたります。1995年以来の再録音ですが、旧録のテノール/バリトンに対し今回はテノール/メゾでの新録。これがまた卓越した内容を持つ名演というべきもので、ラトルの実に詳細で綿密な表現要求に対するバイエルンの十全な反応、表情豊かな弦セクション、明滅する管楽器ソロの巧みな手腕、どれをとっても、ラトルの意図が手に取って判るかのようなニュアンスで横溢しています。さらに素晴らしいのがメゾのコジェナー!理知的でありつつも深みと強固な芯のある表現が貫徹され、何と言っても「告別」が圧倒的。テノールのスケルトンとの対比も鮮明。コジェナーのさらなる深化があればこそ、再録音は満を持しての奥様起用だったのかもしれません!
マーラー: 大地の歌
曲目
マーラー: 大地の歌
演奏
マグダレーナ・コジェナー(メゾ・ソプラノ)
スチュアート・スケルトン(テノール)
サイモン・ラトル(指揮)
バイエルン放送交響楽団
録音
2018年1月25-27日 ライヴ
ミュンヘン、ヘルクレスザール
新宿店でご試聴いただけます
腹に堪える当代有数の重厚ブラームス!バレンボイムが四半世紀ぶりに全集再録!
ダニエル・バレンボイム(1942.11.15-)にとって四半世紀ぶりとなったブラームス交響曲全集。多様性あるアプローチが可能となった現在、ズンと腹に堪える重厚なブラームスを当代の演奏で堪能したい聴き手にとっては福音というべきセットです。今回は彼の腹心というべきシュターツカペレ・ベルリンとの演奏。旧録シカゴ響の機動力を活かした1993年全集にさらに入念の度を加えたかのような構築的造型の深まりがずっしりと聴き手に迫り、これは指揮者としてのバレンボイムの業績を確固と銘ずるスケールを備えた一組とも言えるでしょう。第1番(第1楽章提示部反復なし)でのもうひと粘りを重心低く重ねる急迫と安息との緩急の手さばきは実に揺るぎがありません。第3での雄大なスケールと憂愁の泰然とした表現、第2や第4での剛柔を幾重にも織り合わせる細密な表現も印象深いものです。彼もプランに加わったベルリンの新ホール、ピエール・ブーレーズ・ザールでの録音であることを含め、まさに集大成を期したプロジェクトです。
ブラームス:交響曲全集
曲目
ブラームス:
[CD1]
交響曲 第1番 ハ短調 作品68
[CD2]
交響曲 第2番 ニ長調 作品73
[CD3]
交響曲 第3番 ヘ長調 作品90
[CD4]
交響曲 第4番 ホ短調 作品98
演奏
ダニエル・バレンボイム(指揮)
シュターツカペレ・ベルリン
録音
2017年3月
ベルリン、ピエール・ブーレーズ・ザール
新宿店:森山 慶方
- 所属
- 新宿店
- 名前
- 森山 慶方
- 趣味
- 音源チェック
書店巡り
ラグビー観戦(JRFUメンバーズクラブ会員)
声楽と指揮を楽しみレベルでまた再開したいなと夢想… - 好きなジャンル
- オケもの、オペラ・声楽曲、古楽
- 愛聴盤
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- フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィル『シューマン:交響曲第4番』
- ベルティーニ指揮ケルン放送響『マーラー:交響曲第3番』
- クナッパーツブッシュ指揮バイロイト祝祭管 ワーグナー:舞台神聖祭典劇『パルジファル』
繊細・豪華に響き渡る 天下一品パーヴォ+N響サウンド
【参考動画】Modest Mussorgski - Night On Bald Mountain / Paavo Jarvi / Estonian Festival Orchestra
なんと言っても面白いのが《はげ山の一夜》の原典版です、一般に用いられるR=コルサコフ版よりも遥かに狂暴な迫力と奇天烈な展開をっています。地理的にも音楽史的にもムソルグスキーと深く結ばれたパーヴォ・ヤルヴィのド迫力の表現に驚かされます。冒頭から物々しい重低音から奇怪な最高音まで、作品の狂気の表情が炸裂。普段から巨大なホールで大きな音での演奏を行っているNHK交響楽団のパワーと卓越した合奏能力がフルに発揮された名演です。メインの《展覧会の絵》ラヴェル編曲版の演奏にはロシア的な民族性や重厚さを生かすやり方と、華麗な色彩を生かすやり方がありますが、ここでの演奏は明らかに前者。ヤルヴィは前述したパワーと合奏能力、そして楽員個々の優秀な音楽性を活かして、作品をスケール雄大かつ表情豊かに描きあげています。《ホヴァンシチナ》間奏曲での深沈とした悲しみの表情も美しく、オペラの情景を想起させるほど雰囲気豊かです。
ムソルグスキー:展覧会の絵&はげ山の一夜
曲目
ムソルグスキー
1.組曲「展覧会の絵」(ラヴェル編)
2.歌劇「ホヴァンシチナ」より 第4幕 第2場への間奏曲「ゴリツィン公の流刑」(リムスキー=コルサコフ編)
3.交響詩「はげ山の一夜」(原典版)
演奏
パーヴォ・ヤルヴィ(指揮)
NHK交響楽団
録音
2016年9月14日&15日、サントリーホールでのライヴ・レコーディング[NHK交響楽団第1841回 定期公演 Bプログラム]
鬼才ファジル・サイが描いた 変幻自在なドビュッシーの音楽世界
【公式PV】Fazil Say plays Erik Satie: Gnossienne No. 1
ドビュッシー没後100年を飾る感動的な名盤が誕生しました。落ち着いた、暖か味のある音色で、おずおずと語りだされる冒頭から、思わず惹き込まれてしまいます。トルコ出身のピアニスト、作曲家のファジル・サイは、12曲の小品からなるドビュッシーの前奏曲集第1巻を、1曲1曲、まるで生き物のように息づかせながら弾いています。緩急や強弱、色彩の変幻自在な変化は魔法のごとく。繊細にして静謐な美しさからデモーニッシュな高揚までその表情は、しなやかに、幅広く揺れ動きます。各小品が一つの生命体として完結し、同時に全12曲として一つの小宇宙を描くところに、全体の構成を見据えた作曲家ならではの目を感じずにはいられません。続くサティ作品でもドビュッシー同様の多彩な表情を聴かせていますが、ドビュッシーでの音のドラマに比してスタティックな佇まいを失わないのは、両作曲家の様式を踏まえてのことなのでしょう。
ドビュッシー:前奏曲集第1巻 サティ:グノシェンヌ&ジムノペディ
曲目
ドビュッシー:前奏曲集第1巻
サティ:6つのグノシェンヌ、3つのジムノペディ
演奏
ファジル・サイ(ピアノ)
録音
2016年3月11-16日、ザルツブルク、モーツァルテウム大ホール
商品本部 洋楽部:板倉重雄
- 所属
- 商品本部 洋楽部
- 名前
- 板倉重雄
- 趣味
- レコード蒐集(SP~CD)、音楽書・美術書蒐集、野球観戦
- 愛聴盤
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- ヨゼフ・シゲティ、ミエチスラフ・ホルショフスキ『ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第1&3番』
- イェルク・デムス、バリリ四重奏団『シューマン:ピアノ五重奏曲、ピアノ四重奏曲』
- ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団『シューベルト:弦楽四重奏曲第15番』
タグ : マスターズチョイス
掲載: 2018年09月28日 12:00