映画『ジョアン・ジルベルトを探して』でボサノヴァに想いをはせる
©Gachot Films/Idéale Audience/Neos Film 2018
数々の音楽ドキュメンタリー作品を発表し、フランスを拠点に活動する映画監督、ジョルジュ・ガショは、これまでブラジル音楽についての作品も『Maria Bethania : Musica e Perfume』(2005)、『Rio Sonata : Nana Caymmi』(2010)、『O Samba』(2014)と、発表してきたが、ブラジルへの思いが最高潮に達して完成させたのが、『ジョアン・ジルベルトを探して』だ。物語は、2008年に他界していたライター、マーク・フィッシャーが書いた、フィッシャーがこのブラジル音楽の神に会いたいとブラジル中を旅する過程が書かれた一冊の本。ガショ監督は、その一冊に心を奪われ、自身が、フィッシャーに代わって、ジョアン・ジルベルトに会えないか、とリオへ旅立つところから始まる。
映画で描かれていく、ボサノヴァの歴史の香り、ジョアン・ジルベルトの長い人生の中での思いなど、記憶から辿られる数々の名音源とともに紹介されていく。
ボサノヴァの歴史を実直にたどる、というのではなく、ボサノヴァの父の姿を追い求めた、ひとりのもの書きの追跡の軌跡に同行しながら、ブラジル音楽の重要素、ボサノヴァの代名詞的アーティストたちの香りを共に楽しむドキュメンタリーであり、心で聴きたい音楽として、再度、このジャンルに親しんでみたい心持ちは観客からよみがえらせるだろう。
本作は、サウンドトラック盤としてまとめられているものはない。ただし、映画を彩り、映画を見れば聴きたくなる音源を紹介いたします。
『ジョアン・ジルベルトを探して』2018年作品
監督:ジョルジュ・ガショ
製作:ジョルジュ・ガショ、ピエール=オリヴィエ・バルデ、クリストフ・メナルディ、アンドレアス・アツヴァンガー
原作:マーク・フィッシャー
脚本:ジョルジュ・ガショ、パオロ・ポローニ
撮影:ステファン・クティ
編集:ジュリー・プラ
音楽:ジョアン・ドナート
出演:ミウシャ、ジョアン・ドナート、ホベルト・メネスカル
配給:ミモザフィルムズ
2019年8月24日(土)より新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開