Miles Davis(マイルス・デイヴィス)、『ライヴ・イヴル』SA-CDマルチ・ハイブリッド・エディションが日本独自企画で発売
マイルス・デイヴィスが1970年に傑作『ビッチェズ・ブリュー』を発表してから2020年で50年となる。
ロックやファンクの要素を取り入れながら新しいサウンドを追求し続けた帝王マイルスの、1970年ライヴとスタジオ録音を組み合わせた2枚組『ライヴ・イヴル』がSA-CDマルチ(4ch)ハイブリッド盤で2020年1月22日に発売。
これまでリリースされてきたステレオ・ミックスとは別の4チャンネル・ミックスを収録した〈クアドラフォニック〉ヴァージョンが、SA-CDマルチ(フロント・リアの4チャンネル)で世界初復活となる。SA-CDステレオ/CDについてもアナログ・マスターから新たにマスタリングされ、SA-CD4ch&2chとCDが1枚で聴けるハイブリッド・ディスクでの日本独自リリース。
『ライヴ・イヴル』は1970年12月19日ワシントンDCのセラー・ドアでのライヴ録音と同年2月と6月のスタジオ・テイクで構成されており、1971年11月に世界発売された。参加メンバーにはチック・コリア、ハービー・ハンコック、キース・ジャレット、ジョー・ザヴィヌル、ジョン・マクラフリン、デイヴ・ホランド、ロン・カーター、ゲイリー・バーツ、ウェイン・ショーター等錚々たるメンツがクレジットされ、プロデュースはテオ・マセロが手掛けている。
「過去共演した中で最もすごかった奴はキースだ」、とマイルスに言わしめた20代半ばのキース・ジャレットの壮絶なエレピ・ソロをはじめ、若き日のジョン・マクラフリンやジャック・ディジョネット、ファンク・グルーヴたっぷりマイケル・ヘンダーソン等エネルギー溢れる衝撃の魂のプレイは49年経過した今もなお聴く者の心を熱くする。また80代となった2019年も来日していたブラジル音楽界鬼才エルメート・パスコアールも参加しており、枠にはまりきらない自由な芸術性をもつ若手に声をかけていたマイルスの度量の広さがうかがえる。
1970年半ばまで一般発売されていた専用オーディオ・システムが世の中から消えてしまったため、クアドラフォニック盤が一体どんな音だったのか謎に包まれたまま何十年という時が経過。約半世紀を経て今蘇る、そこにマイルスが演奏しているかのようなその存在を感じるみずみずしくもリアルな音空間に身をおきながら、私たちはあらためてマイルスの創造する凄まじき宇宙にひきこまれる。アートワークは1973年3月にクアドラフォニック国内盤が発売された当時のアナログ・ジャケットを復刻している。表1にはタイトルとして〈MILES DAVIS LIVE〉 、表4では〈SELIM SIVAD EVIL〉とデザイン文字が対象に配置されたダブル・ジャケットの独創的なイラストは『ビッチェズ・ブリュー』と同じくマティ・クラーワインの作品。
Miles Davis『ライヴ・イヴル-SA-CDマルチ・ハイブリッド・エディション-<完全生産限定盤> 』
■SA-CD マルチ(4ch):1972年に4chミックス盤として発売されたクアドラフォニック盤アナログ・マスターから世界初SA-CD化。フロント/ リアの4チャンネル
■SA-CD Stereo/CD:1971年に発売されたアナログ・マスターから2019年最新マスタリング
■7インチ紙ジャケット(アナログ・シングル・サイズ)
■1973年3月発売 日本盤クアドラフォニックLP(銀ジャケ)、発売当時の帯復刻
■ゲイリー・バーツによる寄稿復刻
■岩浪洋三氏による1971年国内盤初発売時オリジナル・ライナーノーツ復刻
■小川隆夫氏によるクアドラフォニック・ミックス復活の解説
■2019年最新リマスター
DISC1収録曲:
1 シヴァッド ※
2 リトル・チャーチ
3 メドレー:ジェミニ/ダブル・イメージ
4 ホワット・アイ・セイ ※
5 ネム・ウーム・タルベス
DISC2収録曲:
1 セリム
2 ファンキー・トンク ※
3 イナモラータ・アンド・ナレーション ※
パーソネル:
マイルス・デイヴィス(トランペット)
ゲイリー・バーツ、スティーヴ・グロスマン、ウェイン・ショーター(サックス)
ジョン・マクラフリン(ギター)
キース・ジャレット、チック・コリア、ジョー・ザヴィヌル(キーボード)
マイケル・ヘンダーソン,デイヴ・ホランド,ロン・カーター(ベース)
ジャック・ディジョネット,ビリー・コブハム(ドラムス)
アイアート・モレイラ(パーカッション)
エルメート・パスコアール(ヴォーカル、ドラムス)
カリル・バラクリシュナ(シタール)録音:
1970年12月19日ワシントンDC ザ・セラー・ドアでのライヴ ※
1970年2月、6月NY、コロンビア・スタジオB録音