渋谷店AON - Adult Oriented NewWave -:MODERN BEAT,GOOD MELODY
AON(Adult Oriented NewWave)~大人のための80’sミュージック~という新たな切り口のもとに、ニューウェイヴ世代の音楽を聴き直してみましょう。
Makin' Time、他『Rhythm (The Complete Countdown Recordings)』
ネオ・モッズの牙城にして伝説ともいうべきカウントダウン・レーベルが誇る最強のソウルフル・ビート・バンド。男女ツイン・ヴォーカルにグルーヴィーなオルガンが絡む鉄板すぎる胸アツ・サウンドがなぜメジャー・ブレイクしなかったのかは謎だが、とにかく猛烈にカッコイイことだけは確かだ。80s仕様のモータウン・ビートとしてはジャムの”Town Called Malice"すらも凌ぐ一撃必殺の超名曲③は外しようがないとして、これまたモータウン直系のゴキゲン・チューン⑭、ポップなコーラスとオルガンがせめぎ合う⑮、疾走感溢れるツイスティン・グルーヴ⑲など・・・レコメンドはキリがない!
◆◆◆◆◆
Joboxers『Like Gangbusters : Expanded Edition』
粋人ヴィック・ゴダードと袂を別れたサブウェイ・セクトの残党たちが結成したバンドの唯一作。まずハンチング&サスペンダーという労働者風情のルックスがたまらなくカッコイイ。サウンド的には黒人音楽への憧憬が色濃いが、スタカンやブロウ・モンキーズのような気取りよりもパンク上がりの性急な熱さと雑多さが身上。まず聴いて欲しいのは弾けるようなソウルフル・ポップにして特大クラブ・ヒッツ⑤だが、ダンサブルな熱気に満ちた①や相反してクールなファンクネス溢れる③、スタイリッシュなモダン・ジャイヴ④、ちょいオールドスクール風の⑩など、意外なほどの引き出しの多さもまた魅力。
◆◆◆◆◆
Friends Again『トラップド・アンド・アンラップド』
ポストカード組に続くスコティッシュ・ポップ第二世代の中でも、ひときわ突き抜けた爽快さが気持ちいいバンドの唯一作にして、ネオアコ・フリークの間で非常に人気の高い一枚。またブルーアイド・ソウル的なグルーヴ感を併せ持っているのも特徴だろう。とびきりメロディアスな①からして鮮烈だが、彼らの代表曲とも言うべき先行シングル②、ファンカラティーナ風③、ホーン隊も交えた私的レコメン曲④、トム・ヴァーレイン(!)プロデュースの⑧、デビュー・シングル⑪など、どれもが瑞々しい。もちろん今回大量に追加されたレア音源も聴きどころ満載。
◆◆◆◆◆
Hurrah!『サウンド・オブ・フィラデルフィア』
煌めくようなジャングリー・ギターが奏でる、瑞々しくも力強い青春サウンド。 武骨なくせにやたらと胸躍らせるメロディー。硬派な情熱と蒼い感傷が同居した稀有な80'sネオアコ/ギターポップ・バンド、フラー!の、シングルや未発表曲、デモ音源などをまとめたグッド・コンピレーション。プリファブ・スプラウトと同じ少数精鋭のキッチンウェア・レーベルに所属していただけあって、楽曲のセンスは抜群。なのにまるで知名度ナシなのが悔しい!アズテック・カメラ、オレンジ・ジュース好きならば絶対に聴いて欲しい!なお解説は私。
◆◆◆◆◆
Haircut 100『Pelican West Plus』
フリッパーズ・ギターが曲名やらに引用しているのでネオアコ・ファンからの人気も高いが、ファンクとラテンをクロスオーバーさせた<ファンカラティーナ>と呼ばれたサウンドは、いま聴いても相当にダンサブル。疾走するギター・カッティングと祝祭的なホーンやパーカッションが高揚感を煽るデビュー・シングル①に始まり、軽快なトロピカル・フィールが胸躍らせる③や④、⑥など好曲満載。後にソロとなるニック・ヘイワードのポップ・センスも随所で光る傑作だ。
渋谷店AONコーナー紹介
80年代のニューウェイヴやポスト・パンクというと、どこか尖ってアナーキーで、それ以前の時代の音楽とは隔絶した若者的サウンドを想像しがちですが、実際のところは大人の鑑賞にも耐え得る素晴らしく良質な音楽の宝庫でもあったわけです。いまこそAON(Adult Oriented NewWave)という新たな切り口のもとに、ニューウェイヴ世代の大人ミュージックを聴き直してみましょう。
担当者/作品レビュー執筆者紹介
渋谷店 洋楽バイヤー: 北爪啓之
1999年、新宿店入社。洋楽フロアで主にリイシュー物やオールディーズ、はじっこの方のロックを担当。2004年に渋谷店に異動後も洋楽バイヤー一筋(邦楽も好きなんですが)。”フリーメタル”、”カフェ・プログレッシヴ”、”シチュー系”など、ほぼ思いつきで新ジャンルを提唱するも残念ながら世間には浸透せず。それゆえ、これまた私の造語である”AON”だけはどうにか皆様に馴染んでいただきたい思い。 ビーチボーイズではマイク・ラブ、はっぴいえんどでは松本隆、放課後ティータイムではムギちゃん派。なおプライベートでは古本屋巡りと酒場巡礼が趣味。好きな作家は谷崎潤一郎、江戸川乱歩、中井英夫、長嶋有など。趣味の合いそうな人、連絡お待ちしております。
掲載: 2020年03月27日 18:00