Bob James(ボブ・ジェームス)|1965年の発掘音源『Once Upon a Time: The Lost 1965 New York Studio Sessions』
人気ジャズ/キーボード奏者、ボブ・ジェームス。アーティスト本人も驚きの最初期の活動をとらえた発掘音源が作品化
2019年で80歳を迎えた大御所、ボブ・ジェームスは言わずもがな!フュージョン/クロスオーバー界の大人気のアーティスト。一方、1961年~65年に開催されたアメリカの音楽史上最も並外れた冒険の1つとも言われるONCE Festivalでも演奏し、1964年には、エリック・ドルフィーと共演。今なお先鋭的と言える現代音楽的な楽曲“A Personal Statement”の作曲者であることでも知られ、ESPから『Explosions』をリリース。前衛的な演奏を繰り広げていた側面も持つアーティスト。本作には、そんなボブ・ジェームスの転換期を明らかにする演奏があります。
録音は、Resonanceの創始者であるジョージ・クラビン。作品構成は2部構成で双方1965年のもの。しかし、異なるリズム・セクションを迎え、異なるスタイルの演奏を展開しています。
前半部は、前記“A Personal Statement”のメンバーでもあった、ロバート・ポザーがドラムをつとめる演奏で、1月20日録音。こちらでは、プリペアド・ピアノを含む前衛的な側面もみせる演奏。そして、この演奏が、ESPのファウンダー、バーナード・ストルマンを刺激したもの。作品の解説にあるクラビンの言葉によれば、クラビンがこの演奏を聴かせたところ、ストルマンは感銘を受けて録音を決行。『Explosions』となったとあります。
一方後半部は、10月9日録音。メインストリームの演奏で、繊細さとリリシズムも記録された演奏。同じく、クラビンの記述によれば、1965年の後半に、クラビンはボブ・ジェームスに電話し、“『Explosions』とは対照的な、演奏を録音したい”と頼んだとのこと。”エアジン”に聴くアップテンポでの粒立ちのいい溌剌とした演奏と共に、ビル・エヴァンスも演奏した“Indian Summer”では、ハーモニーの美しさと繊細なバラード演奏が披露されています。また、現在に至る完璧ともいえる演奏構成/展開をみせるボブ・ジェームスの才気も感じさせます。
実は、作品の解説にあるボブ・ジェームスとゼヴ・フェルドマンとの対談によると、自身は、この録音の経緯に関して、詳細を記憶してなかった、とのことですが・・・現在では一部のファンにのみ知られる初期の”実験音楽的な試み”に関して、そのキャリアを誇りに思うと語り、「最近のファンの人の期待する音楽ではないかもしれないけれど、少なくとも、彼らの想像力が、何らかのかたちで刺激されればいいなと思ってる」とのこと。また「これらの録音が保管され、今も素晴らしい音質で存在しているなんて、まさに天からの贈り物。(中略)おかげで、僕の人生の転換期、つまり、アヴァンギャルド的な冒険の世界から、最終的に今に至る道へと、まさに方向転換しようとする自分自身を、文字通り<精神分析>することができる」と語り、「その音源がリリースされるなんてほんとうに興奮する」とも語っています。
録音は、コロンビア大学のWollman Auditorium stageにて。半世紀以上に渡って常に第一線で活動するボブ・ジェームスの表現の幅の広さ、厚さを語り、表現の秘密を明かす作品の登場です。
・輸入盤国内仕様CD(日本語帯解説書付 (日本語書下ろし解説/ボブ・ジェームスへのインタビューの翻訳/ 小曽根真へのインタビューの翻訳を掲載))
・輸入盤CD
・輸入盤LP
【収録曲】
1. Serenata (5:46)
2. Once Upon A Time (7:00)
3. Lateef Minor 7th (7:36)
4. Variations (6:22)
Recorded on January 20, 1965 with Larry Rockwood on bass and Robert Pozar on drums.
5. Airegin (4:42)
6. Indian Summer (5:10)
7. Solar (5:22) - Miles Davis
8. Long Forgotten Blues (9:01)
Recorded on October 9, 1965 with Bill Wood on bass and Omar Clay on drums.
【メンバー】
M1-4 Bob James(p), Larry Rockwood(b), Robert Pozar(ds)
M5-8 Two:Bob James(p), Bill Wood(b), Omar Clay(ds)