Steve Howe(スティーヴ・ハウ)|ソロ名義としては通算17作目のアルバム『Love Is』
この50年の間に少しでもロックの魅力にはまってしまった人には、彼についての説明は不要だろう。世界中で絶大な人気を博し、大きな成功を収めるプログレッシヴ・ロック・グループであるイエスやエイジアといったプログレッシヴ・ロック・バンドの一員として活動し、そのプログレ両巨頭のサウンド形成に重要な役割を果たしたとして称される、重要アーティストにして偉大なるギタリスト、スティーヴ・ハウは、それほどの圧倒的存在感を持つ、稀有の存在なのだ。底知れない音楽的才能を持つギタリストである彼は、50年以上のキャリアを通してバンド名義やソロ名義での作品を50枚以上もリリースし、今なお精力的に活動を続けるまさに「伝説的」アーティストの一人だ。
自身の作品だけでなく、ロイヤル・フィルハーモニック・オーケストラからルー・リード、そしてクイーンといった幅広いアーティスト/ミュージシャンたちへの作品にも参加し、圧倒的アコースティック・ギターの響きや絶妙なサウンド・スタイルですべてのロック・ファンを魅了し続ける彼が、ソロ名義としては通算17作目となる最新作『LOVE IS』を完成させた。ソロ名義の作品としては、彼が2011年に発表した全編インストゥルメンタル・アルバムとなった『TIME』に続く約9年振りの新作となる。
インストゥルメンタル曲5曲とヴォーカル曲5曲という全10曲を収録したこの最新作『LOVE IS』は、インスト曲とヴォーカル曲が交互に配置される形で構成されている。スティーヴ・ハウ本人がエレキやアコースティック、そしてスティールといった様々なギターを担当するだけでなく、リード・ヴォーカルやキーボード、パーカッション、そしてインスト曲ではベースも担当しており、ヴォーカル曲ではイエスのヴォーカリストであるジョン・デイヴィソンが参加、スティーヴとの見事なハーモニーを聴かせてくれているほか、ベースも担当している。また、スティーヴの息子でありドラマー、ディラン・ハウもドラムで参加している。
数年間をかけてじっくりと制作されてきたこの強力な最新作『LOVE IS』は、ハウのソロ・キャリアにおいても非常に突出した作品だといえるだろう。ハウの独特なギター・スタイルを全面に押し出し、プログレッシヴ・ロック・ギター・スタイルをじっくりと聴かせてくれるインストゥルメンタル曲、そして生きとし生ける生命、そして生まれたばかりの生命についての物語を語るヴォーカル曲…、彼が持つソング・ライティングの才能が最高の形で表現された、力強くしっかりと磨き上げられたそのサウンドは、まさに至福の時間を体験させてくれるのだ。12弦ギターとスティール・ギターによる主題をフィーチャーしながら様々なテクスチャーを織り込んでいく楽曲「Love Is A River」は、このアルバムの中心的楽曲だと言えるだろう。
この最新作『LOVE IS』に関して、スティーヴ・ハウはこうコメントしている。
「このアルバムは、愛というものはとても大事なものであると同時に、世界中の愛情、そして世界の自然環境も非常に重要なものである、という中心的アイディアから生まれた作品だ、だから『LOVE IS』というタイトルをつけたんだ。アレクサンダー・フンボルトは世界中を旅し、人類がこの惑星を破壊しているという事実を認識したのは、今から実に200年前のことだ。いまだに私たちはこの惑星を破壊し続けている。私のこの曲が自然が持つ愛情、そして美しさやアート、そして音楽がこの偉大なる自然から生まれたものである、という切実なる想いを伝えるものになっていると思うよ。愛情や美しさ、環境、自然、そして素晴らしき人々…、そういったものをテーマにした作品なんだ」
【収録曲】
01. Fulcrum
02. See Me Through
03. Beyond the Call
04. Love Is a River
05. Sound Picture
06. It Ain't Easy
07. Pause for Thought
08. Imagination
09. The Headlands
10. On the Balcony
タグ : プログレッシブロック (Progressive Rock)
掲載: 2020年06月04日 15:26