Maceo Parker(メイシオ・パーカー)|ジャズ/ ソウル界のレジェンド新作スタジオ・アルバム『Soul Food: Cooking With Maceo』
説明するまでもないが、メイシオは1960年代にジェイムス・ブラウンのバック・バンド、JB’sのメンバーとして、そして75年頃からジョージ・クリントンが主宰する “Pファンク”に加入、その後はプリンスと活動するなど、ファンクの歴史とともに歩んできた大御所サックス・プレイヤーである。1970年代からは、自身のグループを率いたり、ソロ・アーティストとしても活動をはじめ、またキース・リチャーズからブライアン・フェリー、リヴィング・カラーにRHCP、デヴィッド・サンボーンやキャンディー・ダルファーまで幅広いジャンルのアーティストとの共演を行っている。さらに彼のサウンドは、ノトーリアスB.I.G.や2パック、バスタ・ライムズとなどのHIPHOPアーティストにもサンプリングされている。
その彼の最新作『SOUL FOOD – COOKING WITH MACEO』。この作品で彼が取り上げるのは、ニューオーリンズのソウルとファンク。ニューオーリンズのHouse Of 1000hzスタジオでレコーディングされた本作のプロデュースは現代ブルーノートの潮流を築き、ノラ・ジョーンズやMadlib、アル・グリーンなどとの仕事で知られるイーライ・ウルフが手掛けている。彼とともにメイシオは、イヴァン・ネヴィルやトニー・ホール、メイシオのバンドやビヨンセのバンドなどで叩いているドラマー、ニッキー・グラスピー、そして地元のミュージシャンたちを加え、オールド・スクール・ファンクとニュー・オーリンズ・サウンドを融合させたアルバムを完成させた。
アルバム全編に流れるのは、ニューオーリンズという街にあふれるファンキーなヴァイブス。その中でメイシオは、ドクター・ジョンの「Right Place, Wrong Time」、ミーターズの「Just Kissed My Baby」、アラン・トゥーサンの「Yes, We Can Can」などニューオーリンズゆかりのアーティストたちの楽曲から、アレサ・フランクリンの「Rock Steady」、幾度も共演したプリンスの「The Other Side Of The Pillow」、そしてメイシオの長年のヒーローでもあるレイ・チャールズ・バンドのサックス奏者デヴィッド“ファットヘッド”ニューマンの「Hard Times」を彼なりのスタイルで取り上げている。さらに自分自身のレパートリーの中でもとびっきりファンキーな「M-A-C-E-O」と「Cross The Track」も新たにレコーディングしている。
「アーティストとして楽しんでいることの一つに、新しい曲をレコーディングできることがある。でもここはひとつ、曲をカバーしようって思ってね。それがこのアルバムだ。スタジオでは、これまで自分が長年聴いて楽しんできたアーティストたちの楽曲をレコーディングする贅沢を得ることができた」本作のついて、メイシオはそうコメントする。また今作で取り上げたアーティストについてもこう語っている。「ありとあらゆる人達からインスピレーションを受けている、特にザ・レイレッツやハンク・クロフォードなどレイ・チャールズと共演した人たち全員にね。だからこそ、デヴィッド“ファットヘッド”ニューマンの楽曲を収録できたのは格別にうれしかった。比較的長いキャリアのなかで、ミーターズとドクター・ジョン、アレサ・フランクリンと共演したこともあった。だから彼らの楽曲をレコーディングできたのは喜びだったね」さらに長年ともに活動してきたプリンスについて、こう語っている。「彼がいないことが本当に寂しいよ。彼は天才だった、だから彼と一緒にリリースしようと思っていた楽曲を新たにレコーディングしたのには特別な想いがあった。ニューオーリンズ風な要素を加えたのは、子供の頃からの憧れだったもう一人の天才、レイ・チャールズへのオマージュでもある」
メイシオ・パーカーの最新作『SOUL FOOD – COOKING WITH MACEO』。彼の音楽、そしてアーティストたちに対する愛とリスペクトがあふれる1枚だ。
【収録曲】
01. Cross The Track
02. Just Kissed My Baby
03. Yes We Can Can
04. M A C E O
05. Hard Times
06. Rock Steady
07. Compared To What
08. Right Place Wrong Time
09. Other Side Of The Pillow
10. Grazing In The Grass
掲載: 2020年06月04日 15:26