WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.80
リー・コニッツ『サブコンシャス・リー』(1955)
リー・コニッツ(as)
ウォーン・マーシュ(ts)
ビリー・バウアー(g)
レニー・トリスターノ、サル・モスカ(p)
アーノルド・フィシュキン(b)
シェリー・マン、ジェフ・モートン、デンジル・ベスト(ds)
1949年1~9月、ニューヨークにて録音
曲目:
01.プログレッション
02.タートロジー(プログレッション)
03.レトロスペクション
04.サブコンシャス・リー
05.ジュディ
06.マシュマロ
07.フィッシン・アラウンド
08.タートロジー
09.サウンド・リー
10.レベッカ
11.ユー・ゴー・トゥ・マイ・ヘッド
12.アイスクリーム・コニッツ
13.パロ・アルト
【アルバム紹介】
1.独自のクール・スタイルで知られた名アルト・サックス奏者の傑作
2.師のレニー・トリスターノも参加したジャズ・セッション
3.名門プレスティッジ・レーベルの初レコーディング音源を収録
シカゴに出て、シンガーとしてのキャリアを始めたジューン・クリスティのヒット作は先週ご紹介の『サムシング・クール』でした。そのシカゴの生まれで、同じクールでもちょっと違う独自のクール・スタイルで知られたアルト・サックス奏者がリー・コニッツです。
コニッツのクール・スタイルの師であるレニー・トリスターノが参加したレコーディング・セッションであり、またそれは名門プレスティッジ・レーベルの初のレコーディングとなった音源として有名です(1曲目~5曲目)。アルバムの参加メンバーである、テナー・サックスのウォーン・マーシュ、ギターのビリー・バウアー、ピアノのサル・モスカらもトリスターノの門下生です。
トリスターノのクール哲学は“氷のような”といった形容で表されるもので、ウェスト・コースト・ジャズでいうクールの“涼しい”“爽快さ”とはまた違った特徴をもったものになっており、ある意味“低温ジャズ”、“冷凍ジャズ”といった印象さえ漂います。
収録曲はコニッツが8曲、マーシュが2曲、トリスターノが2曲とオリジナル曲が中心で、11曲目の“ユー・ゴー・トゥ・マイ・ヘッド”だけがスタンダード・ナンバーという構成です。
【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
クールな中に少しホットな展開のタイトル・チューン “サブコンシャス・リー”。
聴いていると和声感があまりなく、メロディラインやフレージングは調性がおぼつかない瞬間もあり、
極めて異質なクール・ジャズ感覚に包まれると思われます。
そんな中でこのタイトル曲はややホットなソロ、バッキングも展開される1曲として聴けます。
まずコニッツとバウアーによるアルト・サックスとギターのユニゾンで、少々難解なムードも漂う短いテーマが提示され、その後、トリスターノのピアノがソロを展開し、バウアーのギター・ソロへと続きます。そしてコニッツがソロを披露したあと、再びピアノ、ギター、アルト・サックスの順にソロを回し、いつのまにかテーマが回帰し、あっという間に曲がエンディングをむかえます。
すでに周知のとおり、リー・コニッツは2020年4月にコロナ・ウィルス感染が原因となり92歳で亡くなりましたが、それまでずっと現役で演奏活動を続けていました。
記憶の新しいところでは、2013年、2017年の2度に渡って、東京ジャズにも出演し、その威厳に満ちたプレイで多くの聴衆を魅了したのが思い出されます。
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タグ : WEEKEND JAZZ
掲載: 2020年06月05日 10:00