WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.82
チャーリー・ヘイデン『マジコ』(1980)
チャーリー・ヘイデン(b)
ヤン・ガルバレク(sax)
エグベルト・ジスモンチ(g,p)
1979年6月、オスロ、タレント・スタジオにて録音
曲目:
01.バイラリーナ(バレリーナ)
02.マジコ(マジシャン)
03.サイレンス
04.スポール
05.パリャーソ
【アルバム紹介】
1.広い世代のジャズ・ミュージシャンと共演したベーシスト、チャーリー・ヘイデン
2.ジャズという言葉では表現できない、無国籍なインストゥルメンタルともいうべき美しい音楽
3.ノルウェーのサックス奏者ヤン・ガルバレク、ブラジルのギタリスト兼ピアニスト、エグベルト・ジスモンチが参加
ベーシスト、チャーリー・ヘイデンはその生涯にわたって数々のミュージシャンと共演した才人でした。50年代終わり頃から前回ご紹介しましたオーネット・コールマンのカルテットに参加し、60年代後半からはキース・ジャレット、80年代にはパット・メセニーといった広い世代のジャズ・ミュージシャンと優れたアルバムを残しています。スタンダードなジャズを演奏するといったイメージはほぼなく、どちらかというとフリーでクリエイティヴなジャズを推進してきた稀有な存在でした。
本作は、ECMレーベルでの傑作アルバムのひとつで、国籍の違う、才能溢れるミュージシャン3人よる、ジャズという言葉では表現できない、無国籍なインストゥルメンタルともいうべき美しい音楽です。
メンバーはアメリカ人のチャーリー・ヘイデンの他、ノルウェーのサックス奏者ヤン・ガルバレク、ブラジルのギタリスト兼ピアニスト、エグベルト・ジスモンチという顔ぶれです。
収録曲は全5曲で、1曲目の“バイラリーナ(バレリーナ)”は14分に及ぶ楽曲で、それ以外は3人それぞれが書いたオリジナル曲を収録。
べースによる夢幻の低音が響き、ソプラノ・サックスが遠くの地平線を思わせるような伸びやかなトーンを奏で、アコースティック・ギターの繊細なアルペジオが水面の太陽の光の反射を思わせます。
瞑想的で心鎮まる音楽が展開されてゆきます。
この3人によるマジコ名義のアルバムはECMレーベルから本作を含め3作リリースされております。本作の後、1981年に続編の『フォーク・ソングス』、2012年には1981年にミュンヘンで行われた伝説のライヴ音源『マジコ カルタ・デ・アモール』があり、どれも傑作の呼び声が高い作品です。
【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
15分間、何も考えずリラックス。1曲目“バイラリーナ(バレリーナ)”。
いわゆるビバップとか、ハード・バップといった種類のジャズの要素は一切ありません。
テーマこそ決まってはいますが、あとは3人のミュージシャンによる自由な即興音楽が展開されて楽曲を形作っています。
しかも、バリバリとソロをとるという姿勢ともまた違うイマジネイティヴなフレーズをひとつひとつ綴れ織るように響き合わせて、独特の音空間で聴かせています。
まずは日常から解放されて、15分間何も考えず、この曲に身を任せてリラックスしてみてください。ご自身の心の中に、何か不思議な情景が浮かんできて、いつのまにか美しい夢を見ているかもしれません。
まさに“沈黙の次に美しい音”を誇るECMレーベルの80年代の傑作のひとつです。
この世のものとも思えないほど繊細な音楽を最良のサウンドで聴いていただくために、タワーレコードでは2018年に本作の世界初SACDハイブリッド盤を企画し、リリースしております。
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タグ : WEEKEND JAZZ
掲載: 2020年06月19日 10:00