WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.83
チャールス・ロイド『フォレスト・フラワー』(1967)
チャールス・ロイド(ts,fl)
キース・ジャレット(p)
セシル・マクビー(b)
ジャック・ディジョネット(ds)
1966年9月18日 モンタレー・ジャズ祭にてライブ録音
曲目:
01.フォレスト・フラワー、日の出
02.フォレスト・フラワー、日没
03.ソーサリー
04.ソング・オブ・ハー
05.イースト・オブ・ザ・サン
【アルバム紹介】
1.孤高のテナーマン、チャールス・ロイドの60年代傑作ライヴ盤
2.ピアノにはキース・ジャレットが参加
3.ロック台頭時代、独自のジャズ路線を突き進む斬新なジャズ・カルテットの演奏
前回ご紹介しましたベース奏者のチャーリー・ヘイデン、そしてアルバムに参加していたノルウェーのサックス奏者ヤン・ガルバレクはどちらも70年代にキース・ジャレットのカルテット(前者はアメリカン・カルテット、後者はヨーロピアン・カルテット)に在籍していました。そのキース・ジャレットが60年代後半、テナー・サックス奏者チャールス・ロイドのカルテットのピアニストとして活躍し、その時の傑作ライヴとして知られているのが本作です。
チャールス・ロイドはハードバップ風の演奏をするわけでもなく、どこか孤高のテナーマンという風情が漂うプレイがその魅力であり、本作では、演奏している楽曲は自身の、もしくはメンバーのペンによるオリジナル・ナンバーで固められています。
本作がライヴ・アルバムの傑作というだけでなく、評価が高い理由の一つはピアニストがキース・ジャレットであるところが大きいです。またドラマーは80年代以降にキース・ジャレットとともにスタンダーズ・トリオで活動を共にしてゆくジャック・ディジョネットという点も注目です。そしてベースにはセシル・マクビーという実力派がそろい、当時のロック台頭時代の空気の中で独自のジャズ路線を突き進む斬新なジャズ・カルテットの様相を伝えています。
【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
流れてゆくような8ビートに揺られる“フォレスト・フラワー、日の出”。
ジャズといえば4ビートですが、60年代半ばにもなると、ロックの影響で、8ビートのジャズも誕生してきており、実演でそれを体現したパフォーマンスが本作では聴けます。
タイトル曲は前半が“日の出”と後半が“日没”と演奏されてゆき、2曲で17分以上にわたって、ドラマティックに展開する様子が収められています。
情景描写ともいえるような、どこか視覚的効果さえ醸し出す、その演奏に思わず引き込まれます。
瞑想的なロイドのテナー・サックス、曲の色彩感を一手に引き受けたようなキース・ジャレットのピアノ・ソロ、ダイナミクスに満ちたジャック・ディジョネットのドラムス、どこかストーリー性を感じさせる流れがそこにはあります。
このライヴが行われたのはアメリカ西海岸のモンタレーという海の街ですが、その翌年6月にはベースをロン・マクルーアに変えて、スイスの世界的ジャズ・フェスティヴァルであるモントルー・ジャズ・フェスティヴァルに出演しています。その時の模様をとらえた放送音源が2019年に正規音源『モントルー・ジャズ・フェスティヴァル1967』としてリリースされ、もうひとつの『フォレスト・フラワー』として話題になりました。
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タグ : WEEKEND JAZZ
掲載: 2020年06月26日 10:00