Rhiannon Giddens(リアノン・ギデンズ)|アメリカン・ミュージックの未来を紡ぎだすアーティストがイタリアのジャズ・ミュージシャンとデュオ・アルバム『They're Calling Me Home』を完成
第53回グラミー賞でベスト・トラディッショナル・フォーク・アルバムを受賞したアメリカン・ルーツ・ミュージック・グループ、キャロライナ・チョコレート・ドロップスのメンバーであり、ここ日本でも2016年に初来日公演を行い、多くのミュージック・ファンを虜にした、アメリカン・ミュージックの知性を感じさせるマルチ・インストゥルメンタリスト/シンガー・ソングライター、リアノン・ギデンズ。その彼女がイタリア出身、今はダブリンを拠点に活動するマルチ・インストゥルメンタリスト/ジャズ・アーティストであり、〈音楽の錬金術師〉とも評される、フランチェスコ・トゥリッシとのデュオ・アルバム第2弾『They're Calling Me Home』をリリースする。
2019年の『THERE IS NO OTHER』に続くコラボレーション作となる『They're Calling Me Home』。ツアーに出ている時以外は、アイルランドに住んでいると語る二人だが、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、2020年3月からずっと国から出ることなく過ごしていたという。大々的なロックダウンの最中、二人は生まれ育ったアメリカやイタリア、そして今住んでいるアイルランドに伝わる音楽に惹かれていく自分たちに気づき、ダブリン郊外の農場にある小さなスタジオ、Hellfireでレコーディングを開始したのだった。そうして生まれたのが、“安らげる家を恋しく想う気持ち”や、パンデミックの中、悲劇的な現実となった“死が呼び戻す”メタファーをテーマにした12曲からなる最新アルバム『They're Calling Me Home』だ。
アルバムにはリアノンがここ何年もの間演奏することがなかったトラディッショナル・ナンバーがいくつか収録されている。その中には、彼女がはじめて習った古き良き楽曲「I Shall Not Be Moved」、「Black As Crow(Dearest Dear)」、そして「Waterbound」も含まれている。この他アルバムには、リアノンによる新曲「Avalon」や、フランチェスコが幼い娘に歌い聞かせたイタリアの伝統的子守唄「Nenna Nenna」などもフィーチャーされている。
またリアノンはアメリカン・フォーク・ミュージックのパイオニア的存在であるアリス・ジェラルドの「Calling Me Home」も取り上げているが、このことについて彼女は次のように語っている。「伝統を取り込みながら感情を深く響かせ、作る曲があたかも昔からずっとあったように思わせることが出来る人がいる――アリス・ジェラルドはそうした類稀なるアーティストの一人で、彼女の“Calling Me Home”を初めて聴いたとき、そしてそれ以降も聴くたびに深く、そして激しく刺さってくる。この曲は歌われるのを待っていたから、それを私は叶えただけ」
さらにアルバムには、誰もがよく知る”死“にまつわる楽曲「Amazing Grace」と「O Death」も収録されている。
共にマルチ・インストゥルメンタリストである二人だが、今作でもミンストゥレル・バンジョーやアコーディオン、そして世界最古の太鼓と言われるフレーム・ドラムを中心にしながら、ヴィオラやチェロ・バンジョーを組み合わせて予想だにしなかった緊張感やエモーショナルなサウンドを作り出している。アルバムには二人の他、コンゴ出身のギタリスト、Niwel Tsumbuやアイリッシュ・トラッドのミュージシャン、エマー・メイヨックがフルート、笛、そしてバグパイプで参加している。プロデュースもリアノンのフランチェスコの二人が手掛けており、エンジニアとしてベン・ロウリングスが参加しているほか、キム・ローゼンがマスタリングを担当している。
二人のマルチ・インストゥルメンタリストによる『They're Calling Me Home』。世界的なパンデミックのなかだからこそ、改めて向き合いたいテーマを含んだアルバムの登場だ。
収録曲:
01. Calling Me Home
02. Avalon
03. Si Dolce e'l Tormento
04. I Shall Not Be Moved
05. Black as Crow
06. O Death
07. Niwel Goes to Town
08. When I Was in My Prime
09. Waterbound
10. Bully for You
11. Nenna Nenna
12. Amazing Grace
掲載: 2021年02月25日 15:48