Chrissie Hynde(クリッシー・ハインド)|最新ソロ作にして最高のディラン・カヴァー・アルバム『Standing In The Doorway: Chrissie Hynde Sings Bob Dylan』
1980年にプリテンダーズとしてデビューして以降、その姉御的な存在感で女性ロッカー最大のアイコンとしてシーンに君臨し続けるクリッシー・ハインド。プリテンダーズとして数々の世界的大ヒットを記録し、ソロ・アーティストとしてもそのカリスマ性に満ちたサウンドとパフォーマンスで、全世界のロック・ファンからだけでなく、メディア、そしてアーティスト達からも最大のリスペクトを受ける、ロック史における最も重要なアーティストだ。
その彼女がボブ・ディランの楽曲をカヴァーしたソロ・アルバムをリリースする。『STANDING IN THE DOORWAY: CHRISSIE HYNDE SINGS BOB DYLAN』は、彼女がプリテンダーズのバンドメイトであるジェイムズ・ウォルボーンとともに昨年レコーディングしたボブ・ディラン・ナンバーを収録したアルバムである。きっかけとなったのは、新型コロナウイルスの感染拡大によるロックダウンの中、ジェイムズがクリッシーにディランが2020年に発表した17分にも亘る傑作「Murder Most Foul」を送ったことから。「この曲を聴いて、私の中で何もかもが大きく変わった」そうクリッシーは語り、さらに続ける。「自分の中に渦巻いていた気難しいムードから抜け出すことができたの」
ロックダウンの最中ということもあり、レコーディングはリモートで行われた。アルバムはほぼ、テキスト・メッセージのやりとりで進み、例えばジェイムズがアイディアをiphoneにとって送り、そこにクリッシーがヴォーカルを足して返し、そのやりとりをプロデューサーのチャド・ブレイクへ送って1つの楽曲にミックスダウンしていったという。そうして「You’re a Big Girl Now」、「Love Minus Zero/No Limit」、「Don’t Fall Apart On Me Tonight」や「Every Grain of Sand」などのディランの楽曲がクリッシー・ハインドによって新たな解釈とサウンドとともにファンの元へと届けられた。
「ボブ(ディラン)のやること全て、どこかに笑いを誘う部分が入っているの。それはなによりも彼がコメディアンであるから。彼はいつも面白くて、いつも伝えたいことを持っている。それで私はジェイムズに“ねえ、ディランのカヴァーをやらない”って電話をかけて、すべてが始まった」
本アルバムの制作過程は映像にも収められており、ディランの80歳の誕生日に合わせてUKのSky Artsで放映されるドキュメンタリー番組「Tomorrow IS A Long Time」にフィーチャーされているという。クリッシー・ハインドによるボブ・ディランのカヴァー・アルバム。時代の風を映したインスピレーションに溢れたアルバムの登場だ。
輸入盤CD
輸入盤LP
【収録曲】
01. In the Summertime
02. You're a Big Girl Now
03. Standing in the Doorway
04. Sweetheart like You
05. Blind Willie McTell
06. Love Minus Zero / No Limit
07. Don't Fall Apart on Me Tonight
08. Tomorrow Is a Long Time
09. Every Grain of Sand
掲載: 2021年05月31日 17:26