Roberto Olzer(ロベルト・オルサー)|あなたを幻想に酔わせ、夢へと導く新作『NOTTURNO / ノットゥルノ』を〈Atelier Sawano〉よりリリース
極め付けの美音が描き出す、「夜の迷宮」。天才 Roberto Olzer があなたを幻想に酔わせ、夢へと導く。求め続けた、これが「アトリエ・サワノ」の集大成。
やっとこの音源を世に問うことができる。まず、そのことに安堵している。Roberto との企画スタートは丸2年前であり、音源が到着したのは昨年の初めだった。諸事情が重なる中、リリースが宙に浮いてしまい、お蔵入りの不安さえ抱えて、隔靴掻痒の日々が続いた。それが遂に解消される。最初にこうしたことを書くのは、仮にこの音源が日の目を見ないとすれば、それはジャズにとっての罪悪であり、損失だと考えたからだ。いつかこれが「発見」されたり「発掘」されたりする?冗談ではない。これは何が何でもASナンバーを冠して世に出さねばならない。そうでなくては、澤野工房である意味がないのだ。そう断言させるものが、ここにある。
サワノのアーティストにあっても、「最も美しい音」を奏でる Roberto Olzerがコンセプトから作り込み、トータル・アルバムとして完成させた。
NOTTURNO(夜想曲)は、そのタイトルの通り「夜のサウンドトラック」だ。それは、星降る夜なのか、漆黒の闇に包まれた夜なのか。恋人との夜なのか、一人きりの夜なのか。出逢いの夜なのか、別れの夜なのか……。Miles Davis が Kind of Blue で描いた都市の夜を、遥かな年月を経て、イタリアの生んだ天才ピアニストが彷徨する。寄り添うのは3つの弦楽器のやわらかくも深々とした響き。それを名匠Stefano Amerio のマスタリングが磨き上げる。
将来のことは分からないが、今日只今であるならはっきり言えることがある。これは極め付きに美しい音楽で、間違いなく今までで最高のもののひとつだ。聴く者の心を幻想で満たし、夢想へと誘う。つかのま、あなたは未踏の夜の迷宮の旅人となるだろう。このアルバムは、サワノの誇りなのだ。
Text by 北見 柊
国内盤CD
【収録曲】
01. Images
02. Etude, Op. 10 No. 6
03. Andante con moto, from ‘Italian’ Symphony
04. My Funny Valentine
05. Rei I, from Neon Genesis Evangelion
06. Milano Rain
07. Notturno
08. Eveline
09. Touchdown
10. Dido’s Lament, from ‘Dido and Aeneas’
【メンバー】
Roberto Olzer - piano
Yuri Goloubev - bass
Mauro Beggio - drums
掲載: 2021年09月16日 18:25