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WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.191

フィニアス・ニューボーンjr.『ピアノ・ポートレイツ・バイ・フィニアス・ニューボーンjr.』(1959)

PNAS

フィニアス・ニューボーン・ジュニア(p)
ジョン・シモンズ(b)
ロイ・ヘインズ(ds)

1959年6月17日、18日ニューヨーク録音

曲目:
01.スター・アイズ
02.ゴールデン・イヤリングス
03.イッツ・オールライト・ウィズ・ミー
04.言い出しかねて
05.スイート・アンド・ラヴリー
06.ジャスト・イン・タイム
07.キャラヴァン
08.フォー・オール・ウィ・ノウ
09.(ブルース・テーマ)フォー・レフト・ハンド・オンリー
10.チェルシー・ブリッジ

【アルバム紹介】
1.テネシー州生まれの名ピアニスト、フィニアス・ニューボーンjr.
2.技巧派のオスカー・ピーターソンに比肩するテクニック
3.ルーレット・レーベルでのピアノ・トリオ編成によるスタンダード名曲集

今回も渋好み系ピアニストをご紹介いたします。だんだんディープな境地になってきているように思いますが、テネシー州生まれの名ピアニスト、フィニアス・ニューボーンjr.を取り上げます。

50年代半ばからジャズ・シーンで活躍し、アトランティック・レーベルでの初リーダー作の高評価で一気にトップ・ピアニストの仲間入りしたほど、高度なテクニックの持ち主で、技巧派のオスカー・ピーターソンと比べられたという事実からもそれが伺えます。

本作はアトランティック、RCAビクター等でのリーダー作を経て、ルーレットにレコーディングされた2枚のピアノ・トリオでのリーダー盤の最初の一枚で、ややリラックス・ムードも漂う逸品となっています。
内容は有名スタンダード+自作オリジナル“(ブルース・テーマ)フォー・レフト・ハンド・オンリー”(タイトル通り左手だけで演奏)となっており、メンバーはべースにジョン・シモンズ、ドラムスにはこの時期共演の多かった名ドラマー、ロイ・ヘインズが参加しています。

【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
オーソドックスながら小粋なスイングに満ちた好演“スター・アイズ”。

アルバム1曲目、この名スタンダード曲での演奏に本作のフィニアスの魅力が集約されているように思われます。
この曲はチャーリー・パーカーはじめ、多くのプレイヤー、シンガーによって演奏、歌唱されてきた40年代生まれのナンバーです。
キャッチーなフィニアスのピアノのイントロに続いて、テーマを提示、いたってオーソドックスに徹した演奏ですが、ソロに入ると、フレーズがやや躍動づき、小粋なスイング感はずっとそのままでダイナミクスをつけながら進み、やがてテーマに回帰します。スムーズにエンディングを迎えた後のなんともいえない爽快感、聴き手にそう感じさせるのは高度なテクニックによる安定した演奏ゆえです。
フィニアス・ニューボーンjrは60年代半ばになると、メンタルの疾患が原因で半ばシーンから姿を消す形になって、レコーディング数も激減してゆきますが、その後カムバックを経て活動再開、最晩年の録音では日本のレーベルからのリリースのものもありつつ、1989年5月に57歳という若さでこの世を去りました。

国内盤CD

 

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タグ : WEEKEND JAZZ

掲載: 2022年08月19日 10:00