WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.215
ナタリー・コール『アンフォゲッタブル』(1991)
ナタリー・コール(vo)
ジョー・サンプル、クレア・フィッシャー、アラン・ブロードベント(p)
レイ・ブラウン、ジョン・パティトゥッチ、ジョン・クレイトン(b)
デイヴ・ウェックル、ジェフ・ハミルトン(ds)
ジョニ―・マンデル、ミシェル・ルグラン、マーティ・ペイチ(arr)
デイヴィッド・フォスター、トミー・リピューマ、アンドレ・フィッシャー(プロデューサー)
etc.
曲目:
01.君を想いて
02.ペイパー・ムーン
03.ルート66
04.モナ・リザ
05.ラヴ
06.ジス・キャント・ビー・ラヴ
07.スマイル
08.ラッシュ・ライフ
09.ザット・サンデイ、ザット・サマー
10.オレンジ色の空
11.メドレー:フォー・センチメンタル・リーズンズ~テンダリー~枯葉
12.ストレイトン・アップ・アンド・フライ・ライト
13.アヴァロン
14.ドント・ゲット・アラウンド・マッチ・エニモア
15.トゥー・ヤング
16.ネイチャー・ボーイ
17.ダーリン・ジェ・ヴー・ゼイム・ボークー
18.オールモスト・ライク・ビーイング・イン・ラヴ
19.ゾウ・スウェル
20.ノン・ディメンティカー (忘れないで)
21.わが恋はここに
22.アンフォゲッタブル
23.アット・ラスト(ボーナストラック)
24.コテージ・フォー・セール(ボーナストラック)
【アルバム紹介】
1.R&Bシンガーソングライター、ナタリー・コールのジャズ路線の大ヒット作
2.父のナット・キング・コールにゆかりのあったスタンダード・ナンバーの数々を歌唱
3.ヴァーチャルでの親子デュエット共演を実現した‟アンフォゲッタブル”
90年代の名盤を特集、今回はR&Bのジャンルで人気を誇ったシンガーソングライター、ナタリー・コールのジャズ路線の大ヒット作を取り上げます。
ナタリー・コールは父親が名ジャズ・シンガーで知られたナット・キング・コールゆえ、本作では父にゆかりのあったスタンダード・ナンバーの数々を取り上げており、見事な歌唱を披露してます。“ペイパー・ムーン”、“ルート66”、“モナ・リザ”、“ラヴ”など、ナット・キング・コールの歌唱でお馴染みのナンバーがズラリと並んでいます。
本作でハイライトとなっている1曲は“アンフォゲッタブル”で、過去にナット・キング・コールが歌った歌唱とヴァーチャルでの親子デュエット共演を実現した演出は多くの感動を呼びました。
参加メンバーは非常にゴージャスな顔ぶれで、演奏ではピアノのジョー・サンプル、ベースのレイ・ブラウン、ジョン・パティトゥッチ、ドラムスのデイヴ・ウェックルなど、アレンジにはジョニ―・マンデル、ミシェル・ルグランなど、そしてプロデューサーにはデイヴィッド・フォスター、トミー・リピューマらが揃い、壮大なプロジェクトであったのが伺えます。
それゆえ本作は1992年のグラミー賞ではアルバム・オブ・ザ・イヤーなど複数の賞を獲得しています。
【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
ドリーミーな時空を超えた親子共演“アンフォゲッタブル”。
本作中、最大のキー・トラックであり、1991年時点での最新のテクノロジーを用いての親子共演トラックは今では父ナット・キング・コールの同曲のバージョンより、人気が高いかもしれません。
ちなみにナット・キング・コールのバージョンは1951年にレコーディングされていますので、約40年後のリメイクがこのデュエット・バージョンということになります。
本作の発売当時、店頭でストアプレイしていると、「今かかっているのは何?」と問い合わせが相次ぎ、いろいろな世代の方が手に取り、飛ぶようにCDが売れていった記憶が蘇ります。当時ナタリー・コールはジャンルとしてはソウル/R&Bのコーナーに置かれていましたが、本作で若いジャズ・ファンからも注目を浴び、ジャンルの垣根を超えた認知に変わっていったように思います。
加えて、ジャズのビギナーにとっては、本作で、数々のポピュラーなスタンダード・ソングを知り、覚えることになりました。
今から思えば、90年代という時代に見るジャズの多様化の一端を担ったアルバムのひとつ、という位置づけになりますでしょうか。何度聴いても飽きのこないアルバムです。
国内盤SHM-CD
タグ : WEEKEND JAZZ
掲載: 2023年02月10日 10:00