山下達郎『僕の中の少年』|TOWER RECORDS LOVES...TATSURO YAMASHITA
結果的に80年代そして昭和最後となったオリジナル・アルバム
前作『POCKET MUSIC』で導入されたデジタル・レコーディングを完全にモノにした感もある1988年作。藤山一郎「東京ラプソディ」という昭和を象徴するような楽曲を踏んだ「新・東京ラプソディー」から始まり、人生観をうたった大曲「蒼氓」を経て少年性との訣別をテーマとしたというタイトル曲でエンディングを迎える本作は「踊ろよ、フィッシュ」といったカラっとしたサマーチューンなども含むも、やっぱりどこか悲し気な印象を感じずにはいられない。移ろいゆく時の儚さを水彩で描きとめたような一枚。(タワーレコード 奥田 賢悟)
昭和の情景が浮かんでくる唯一の日本語タイトル作
デジタル環境での製作が前進した事を感じ取れる、オリジナルとしては唯一の日本語タイトル作品。伊藤広規の極上スラップ、ジョン・ファディスのトランペット・ソロに呼応する形でシャウトする姿に痺れる「新・東京ラプソディー」で幕を開ける本作。サビ始まりの華やかな「踊ろよ、フィッシュ」では、所謂〈タツロー・サウンド〉を聴かせてくれるが、通奏低音として感じるのは“内省”。山下夫妻に桑田圭祐、原由子夫妻によるコーラスで死生観を描いた「蒼氓」、そしてラストを飾ったタイトル曲で80年代に別れを告げ、〈職人〉として90年代を迎えます。(タワーレコード 廣川 奏)
永遠の音楽少年、達郎さんの昭和最後の名盤。
アナログからデジタルへの変化対応を確立したと言える、通算9作目のスタジオ・アルバム。アルバム表題曲(9)「僕の中の少年」は娘さんが誕生した頃に作られた曲という事で、歌詞・曲どちらからも暖かみ・愛情が感じ取れる名曲。(8)「蒼氓 」では山下夫妻に桑田圭祐、原由子夫妻によるコーラスという卒倒しそうな豪華コラボも実現。さらに、TBS系列ドラマ『海岸物語 昔みたいに…』テーマ曲としてスマッシュヒットした(2)「ゲット・バック・イン・ラヴ」と、昭和最後の作品にして、全9曲濃すぎです。。(タワーレコード 石黒 亮)