WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.279
セロニアス・モンク『アンダーグラウンド』(1968)
セロニアス・モンク(p)
チャーリー・ラウズ(ts)
ラリー・ゲイルズ(b)
ベン・ライリー(ds)
ジョン・ヘンドリックス(vo)on “イン・ウォークド・バド”
1967年12月14日、21日、1968年2月14日録音
曲目(LP初発売時):
01.セロニアス
02.アグリー・ビューティー
03.レイズ・フォー
04.ブー・ブーズ・バースデイ
05.イージー・ストリート
06.グリーン・チムニーズ
07.イン・ウォークド・バド
【アルバム紹介】
1.ワン・アンド・オンリーな天才ピアニスト、セロニアス・モンクの1968年のアルバム
2.コロムビア・レーベルでのセロニアス・モンク・カルテットの最後の一枚
3.内容も素晴らしいが「ジャケ買い」の一枚としても有名
今回はジャズ史に残るワン・アンド・オンリーな才能で知られた天才ピアニスト、セロニアス・モンクのアルバムを取り上げます。
その独特の音使い、ハーモニー、リズム感ゆえ、非常にユニークなスタイルが人気の秘密でもあったセロニアス・モンク、亡くなって40年以上の月日が流れていますがいまだにリスペクトが絶えないレジェンド中のレジェンドです。
残されたレコーディングは大きく分けてブルーノート、プレスティッジ、リヴァーサイド、コロムビアといったレーベルにありますが、どのレーベルも名盤と呼ばれるものばかりです。
本作はモンクのディスコグラフィー上では後期の時代にあたるリーダー・アルバムで、コロムビア・レーベルでのセロニアス・モンク・カルテットの最後の一枚です。いろいろなところで言及されている通り、ジャケットはグラミー賞の最優秀アルバム・カヴァー賞を獲得した逸品であり、それゆえ「ジャケ買い」の一枚としても有名なアルバムです。
楽曲は1曲を除いて、すべてモンクのオリジナルになっており、1曲目の“セロニアス”からモンクの真骨頂が堪能できます。2、3、4、6曲は書下ろしのナンバーになります。
カルテットのメンバーは長年にわたってモンクと共演したテナー・サックスのチャーリー・ラウズをはじめ、ベースはラリー・ゲイルズ、そしてドラムスはベン・ライリーです。最後の1曲でモンクの定番オリジナルのひとつ“イン・ウォークド・バド”にはヴォーカルのジョン・ヘンドリックスがゲストで参加しています。
【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
不思議な気品さが漂う“アグリー・ビューティー”。
直訳すれば“醜い美しさ”。どこかそんな曲になっているのがモンクらしいところです。
ピアノがまず冒頭のコードを分散和音で提示し、テーマはテナー・サックスとピアノのユニゾンで進んでゆきます。淡々としたベース・ライン、ブラシワークで静かに流れてゆくドラムス。なんとも不思議な気品さを感じさせます。
まずはテナー・サックスのソロが始まりますが、そこはさすがモンクだけに、バッキングのような、もしくは自身がソロを取っているようなそんな演奏で絡むように進行してゆき、続いて、ピアノだけのソロへと突入。普段のモンクらしい不協和音を交えたアプローチはここではほぼ無し、ハーモニーを崩すことなく、どこか穏やかに弾き進みます。最後はテナー・サックスが戻ってきてテーマ回帰となり、そのままエンディングとなります。
曲が終わった後、妙な余韻が残った感じがいたしますが、そこがモンクのモンクたるところで、他のアーティストにはない、一種のマジックがあるように思います。
本作は最後のトラックはジョン・ヘンドリックスのヴォーカルが入るという構成になっており、それもまた一風変わった余韻をアルバム全体に対して与えているようで、どこか印象に残ります。
国内盤Blu-spec CD2
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掲載: 2024年06月07日 10:00