WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.299
ソニー・ロリンズ『オン・インパルス』(1965)
ソニー・ロリンズ(ts)
レイ・ブライアント(p)
ウォルター・ブッカー(b)
ミッキー・ローカー(ds)
1965年7月8日、ニュージャージーにて録音
曲目:
01.グリーン・ドルフイン・ストリート
02.エヴリシング・ハプンズ・トゥ・ミー
03.ホールド・エム・ジョー
04.ブルー・ルーム
05.スリー・リトル・ワーズ
【アルバム紹介】
1.名テナー・マン、ソニー・ロリンズのインパルスでの初スタジオ盤
2.名ピアニスト、レイ・ブライアントらが参加のワン・ホーン・カルテット
3.スタンダードから知る人ぞ知るナンバーで構成
前回に続き、テナー・サックス奏者の名盤をご紹介いたします。 ジョン・コルトレーンと並び称される名テナー・マン、ソニー・ロリンズのインパルス・レーベルでの初スタジオ・レコーディングとなった逸品になります。
ソニー・ロリンズは50年代には主にプレスティッジ、ブルーノートといったレーベルにリーダー作を残していますが、60年代に入ると、RCA Victorで意欲的にレコーディングを行いましたが、60年代後半はインパルス・レーベルに移って、ライヴ・アルバムを含み4枚ほどの充実作をリリースしています。
本作の参加メンバーはピアノが日本でも人気の高かった名ピアニスト、レイ・ブライアント、ベースは存在は地味ながら、腕のたつことで知られたウォルター・ブッカー、そして、ドラムスには数多くのジャズ名盤に参加している名手ミッキー・ローカーとなっており、ワン・ホーン・カルテットの編成で聴かせます。
楽曲は名スタンダードから知る人ぞ知るナンバーまで、全5曲で構成されています。
【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
名スタンダード“グリーン・ドルフイン・ストリート”。
アルバム1曲目は多くのジャズ・ミュージシャンによって取り上げられている名スタンダード・ナンバーで始まります。マイルス・デイヴィスやビル・エヴァンスといった名だたるジャズ・ミュージシャンの名演が存在しますが、ここでのソニー・ロリンズの演奏もまたジャズ史に残る名演の一つとなっています。やや個性的な名演ではありますが。
曲はイントロもなく、いきなりテーマ・メロディをソニー・ロリンズのテナー・サックスが吹き始めますが、これが曲者で、これでもかとばかりにメロディを崩して吹き続けます。この曲を他の演奏で聴いて十分知っている人には、かなりアドヴェンチャラスな演奏に聴こえます。
テーマをワン・コーラス吹いたところで、なんとなくソロに突入してゆきますが、だんだんフレーズが途切れがちになりながら、レイ・ブライアントのピアノ・ソロへと移行します。ここでは、バックのドラムスがせわしく動きながらも動的で見事なピアノを聴かせます。ピアノ・ソロが終わると、わずかにサックスがフレーズを吹き始めながらも、すぐにウォルター・ブッカーによるベース・ソロに移り、アグレッシヴに展開してゆきます。一段落すると、テーマ回帰となり、ソニー・ロリンズのテナーはかなりメロディを崩したアプローチが冴えわたり、自由に空間を行き交いながら音楽を構築しています。そんなノリの演奏はこの後どれほど続いていたのでしょうか、曲はフェイド・アウトで終わっています。
言ってみれば世にも奇妙なグリーン・ドルフィンの演奏、ということになりますが、ソニー・ロリンズほどの名テナーゆえ、これもまた名解釈ととらえてもよさそうです。
モダン・ジャズ期に名を馳せたジャズ・ミュージシャンの中で、ソニー・ロリンズは現在94歳でまだ存命していますが、2012年を最後に演奏活動は行っていません。
国内盤SHM-CD
タグ : WEEKEND JAZZ
掲載: 2024年10月25日 10:00