NEWS & COLUMN ニュース/記事

第32回 ─ 黒魔頭の怪しい世界

連載
NEW OPUSコラム
公開
2005/07/07   16:00
更新
2005/09/22   12:07
ソース
『bounce』 266号(2005/6/25)
テキスト
文/出嶌 孝次

ファンカデリックの扉は地獄へ通じている


 ミクスチャーな、と言うよりはミクスチャーという概念が生まれる前の未分化だった音楽そのものを、ジョージ・クリントンがファンク+サイケデリックという言葉に集約したのがファンカデリックだ。その後のPファンク軍団作品の中でも極めて異質でゴッタ煮感の強い彼らのウェストバウンド時代作が、このたびアルバム未収録曲/ヴァージョンなどをボーナス収録しまくって(8枚合わせて21曲!)一気にリイシューされた。これは全音楽ファンが食らうべき毒である。こうなりゃ皿まで食らうしかないだろう。

『Funkadelic』 Westbound/Pヴァイン(1970)

  記念すべきファースト・アルバム。“I'll Bet You”にはモータウン色も残るが、夜より深い闇の中からヒタヒタ近づいてくる夢幻ブルース“What Is Soul”とかがどういう経緯で生まれたのか知りたい。いや、知ったが最後……。

『Free Your Mind...』 Westbound /Pヴァイン(1970)

  幕開けを飾る10分間のロッキン躁鬱ゴスペル・ジャム“Free Your Mind And Your Ass Will Follow”だけで昇天可能! ドラッギーで不安定な“Some More”もヤバすぎ。これは本当にあった怖い話じゃよ!

『Maggot Brain』 Westbound /Pヴァイン(1971)

  ジミヘンの王位を継承するエディ・ヘイゼルのギターが10分間嗚咽する圧倒的な表題曲や、ブラック・ツェッペリン的な重たさで迫る“Super Stupid”に身震い。ジャケは後にレッドマンがサンプリング。

『America Eats Its Young』 Westbound/Pヴァイン(1972)

  ブーツィー・コリンズらJB'sの面々が加わったことで、ファンク度を格段にアップしつつ、ジョージが溶かし込んだ闇のアイデアでスライ以上のストーン状態が現出。腰と脳に刺さるファンカデリカルな猛毒は最高潮に達している!

『Cosmic Slop』 Westbound/Pヴァイン(1973)

  ジョージらしい変態メロディーが爆発したカオティックな表題曲が強烈! ダッドリー・パーキンスの元祖的なヘタウマ・ソウル“This Broken Heart”、リフが命の“Trash A Go Go”も格好いい。ペドロ・ベル製の宇宙下水ジャケもバカで狂ってるよ。

『Standing On The Verge Of Getting It On』 West-bound/Pヴァイン(1974)

  バタバタと畳み掛けるリズム隊とヒネたメロディーがグルングルンに回転する表題曲をはじめ、キャッチーな要素があちこちに仕掛けられた地雷地帯盤。ロック度もふたたびアップしている。

『Let's Take It To The Stage』 Westbound/Pヴァイン(1975)

  よりグルーヴィーで機能的な方向を模索したクレイジーな一撃。同郷のMC5ばりにケツを叩く“Get Off Your Ass And Jam”がヤバババッバババイよ。アウトキャストっぽいバケモノがウジャウジャいます!

『Tales Of Kidd Funkadelic』 Westbound/Pヴァイン(1976)

  ウェストバウンドでの最終作。ディスコ・ブームに異を唱えた“Undisco Kidd”はベコベコ響くブーツィーのベースが凄い最高のファァァァンク! ほとんどプログレの表題曲、レゲエに挑戦した“I'm Never Gonna Tell It”もイイわよ。