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第49回 ─ SA-RA CREATIVE PARTNERS

連載
NEW OPUSコラム
公開
2005/12/08   16:00
ソース
『bounce』 271号(2005/11/25)
テキスト
文/森 杜男

銀河の果てから響いてくるブラックトロニック・サイエンスは、いよいよ地上世界に届きはじめた!


 〈異形〉という言葉の影に潜み、虎視眈々とシーンへの台頭を目論む猛々しい音の科学者たち……それがサー・ラー・クリエイティヴ・パートナーズだ! 彼ら3人が作り出す音楽はユラユラと宙に浮くようなスペイシー・サウンドではなく、容赦なくブーストされた低音がブギュブギュとオカルトばりに響き渡る、重力をも丸呑みにするブラックホールのような漆黒の銀河ファンクである。それがジョージ・クリントンやサン・ラーら、エキセントリックな先達の音楽観を手引きにしているのは間違いないが、サー・ラーは先の偉人たちのブラック・ミュージック哲学を咀嚼して独自の未来型ヒップホップを標榜している。その豊かな才能の一端は、自己名義シングル“Double Dutch”“Glorious”や、2枚の限定盤“Cosmic Dust”“Cosmic Lust”で確認できた。それだけじゃなく、ファロア・モンチ“Agent Orange”、クラム・スナッチャ“Turn It Up”(プロモ・クリップにも出演)、プラティナム・パイド・パイパーズの“Deep Inside”、活動拠点を同じくするジュラシック5の“Hey”……など多くのプロデュース・ワークを担当。さらにルーツ・マヌーヴァの“Too Cold”、N.E.R.D.の“Maybe”、DJ Mitsu the Beats“Negative Ion”などなどにリミックスを施したりと、指折り数えるのもバカらしく思える仕事量だ。

 そして今回登場したのが、カニエ・ウェストのレーベル〈G.O.O.D.〉から放たれるメジャー・デビュー盤の前哨戦的なミニ・アルバム『The Second Time Around』である。ファロア・モンチやJ・ディラのマイク参戦はこのうえなくエキサイティングだが、アカペラやインストも躊躇なくブチ込んだこの形態は正直どうかと思う……。しかし、サー・ラーが演出する野蛮で官能的で窒息感たっぷりの音宇宙は、やはり目ン玉が飛び出るほどアメージングかつダイナミックなシロモノなのだ。とにかく、新世代ブラック・ポップの旗手、サー・ラーの動向に注目ですよ!
▼サー・ラーの参加作品を一部紹介。