NEWS & COLUMN ニュース/記事

第61回 ─ BORN TO RUN!

連載
NEW OPUSコラム
公開
2006/02/02   18:00
ソース
『bounce』 272号(2005/12/25)
テキスト
文/桑原 シロー

傑作誕生から30年の時を経たいま、未発表映像を携えて、あの日のボスが甦る!

 このボックス・セットの重さを実感できるのは、『Born To Run』を何十年と聴き込んできたファンだけ? ひとまず答えはハズレ、としておこう。世代を問わず、75年のハマースミス・オデオンにおけるEストリート・バンドの勇姿に触れた人は皆きっと、〈なんでこんなカッコいいものが今日まで日の目をみなかったの?〉と感想を漏らすに違いない。俺はというと、肩のあたりから青白い炎を立ち上らせて、痩せっぽっちのバラッドを奏でるブルース・スプリングスティーンとクラレンス・クレモンズのサックスのメタリックな煌きの交錯から生まれるセクシャルなムードに2時間10分(コンサートの模様をノーカット収録)興奮させられっぱなしだったのだが、唐突に断言、これはブルースの映像作品中ではベストのブツ。この貴重なライヴDVDと『Born To Run』の制作秘話がいろいろと語られるドキュメンタリーの映像ディスクに、最新リマスター盤がセットになった3枚組。〈やはりこのアルバムが彼の最高傑作だ〉と思い直す人が続出すること間違いなしの、重く充実した内容である。

 また、同時リリースとなるチャリティーを兼ねたボスのトリビュート・アルバムは、ディオンといった大先輩からエルヴィス・コステロやエリオット・マーフィーなど37組が揃った豪華な2枚組。単なるヴォリュームだけではない、これも聴き応えたっぷりの充実盤に仕上がっている。
▼文中に登場した作品を紹介。