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第2回 ─ ACID FOLK

第2回 ─ ACID FOLK(3)

連載
Di(s)ctionary
公開
2006/03/30   20:00
ソース
『bounce』 274号(2006/3/25)
テキスト
文/北爪 啓之

Ⅲその後の流れと、現在の音楽シーンに見るアシッド・フォークの影響力

 おそらくアシッド・フォークという言葉自体、70年代当時には流布していない。つまり〈それっぽい〉ものに後付けで命名したジャンル区分であって、正直なところ歴史的系譜というのは見い出し難いのだが、70年代後半のパンク~ニューウェイヴの登場以降、その呼称で語られるアーティストが極端に少なくなるのも事実である。

 ところがここ2~3年、アシッド・フォークという言葉がリアルタイムな音楽に対して使用されることが多くなってきた。その代表格が流浪のフォーク詩人、ディヴェンドラ・バンハートである。彼が描き出す奔放な幻想世界は、まさに精神変容への旅の入り口といえる。さらに、ポスト・エレクトロニカとして注目を集めるアニマル・コレクティヴやジャッキーO・マザーファッカーなどは〈フリー・フォーク〉という新たな呼称のもとに、〈レイヴ・カルチャー通過後のアシッド・フォーク〉ともいうべき独自の音楽観を提示し、その枝葉を世界中へ広げている。ヴァシュティ・バニアンの復活作はその枝に実った奇跡の果実だ。またメジャー・シーンでも、ジョン・フルシャンテのようにアシッド・フォークとしかいいようのない作品を創出するアーティストがいたりと、話が尽きることはない。そう、現在の音楽シーンにおいても、アシッド・フォークの息吹はそこかしこに感じられるのである。

▼本文に登場したアーティストの作品を紹介


ディヴェンドラ・バンハート『Cripple Crow』(XL)

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