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第84回 ─ Madonna

連載
NEW OPUSコラム
公開
2006/08/24   08:00
更新
2006/08/31   22:00
ソース
『bounce』 278号(2006/7/25)
テキスト
文/村上 ひさし

女王様のヒミツを知りたければ、このDVDをチェックしなさい!

 9月には13年ぶりの本格的なコンサート来日を果たすマドンナ。そんな絶好のタイミングで、約2年前に行われた〈Re-Invention Tour〉の模様を収録したドキュメンタリーDVD+CD「I'm Going To Tell You A Secret」がお目見えした。〈私の秘密を語ろう〉というだけあって、女王様のお宝映像がギッシリ。ツアー・ドキュメンタリーといえば、後にも先にも革新的だった91年の「イン・ベッド・ウィズ・マドンナ」という決定版があるけれど、こちらはまさにその続編といった趣向の内容に仕上がっている。モノクロ映像で追った舞台裏と私生活、そしてカラーでヴィヴィッドに見せるステージという手法は〈イン・ベッド~〉に準じている。マドンナという特異なスーパースターを、あらゆる角度から切り崩す。特に今作ではマドンナ・ファミリーがフィーチャーされているのが特徴で、のらりくらりと呑気キャラの旦那=ガイ・リッチーをはじめ、すでに母親譲りの(?)ビッチな気性を覗かせる娘のルルドちゃん、15年前とは打って変わって相互理解を深めている父親など、役者に不足はない。そしてマドンナ本人も自身のエゴとの戦いを認めたり、カバラとの関わりを含めたスピリチュアルな内面性について言及していたりと、単なるセレブのリアリティーものとは一線を画している。

 このツアーがポリティカルな声明をフィーチャーした前作『American Life』のリリース直後に行われたという事実と照らし合わせると、当時のマドンナがどういう状態にあったかというのがよくわかる。そこで一度シリアスな意見を全部吐き出しておいたから、最新アルバム『Confessions On A Dancefloor』であんなにハジけてしまうことができたのだろう。ひと足先にLAで観た〈Confessions Tour〉でも、その吹っ切れようが痛快だった。両ツアーの音楽監督はスチュワート・プライス。彼の手によってかつてのヒット曲に新鮮な血肉が注がれているのだが、その様子はDVDとセットになっている初の(!)ライヴCDでたっぷり楽しめる。そう言えばお茶目なキャラのスチュワートはDVDのなかでも大活躍。マドンナの信頼を勝ち取ったマブダチぶりには、ガイ・リッチーでなくともちょっぴり妬けてしまいそうだ。
▼マドンナの作品を紹介。