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第100回 ─ カヒミ・カリィ

連載
NEW OPUSコラム
公開
2006/10/26   23:00
ソース
『bounce』 281号(2006/10/25)
テキスト
文/内田 暁男

柔和なノイズと天使の囁きが織り成す深遠な音世界をご案内!!


 神田朋樹や菊地成孔らが参加し、フリージャズや現代音楽に接近した2003年作『Trapeziste』で、〈ガーリー〉〈フレンチ〉といったイメージを乗り越え、クールで野心的な女性アーティストとしての姿を印象付けたカヒミ・カリィ。小山田圭吾(コーネリアス)との久々の共演も話題を集めた2004年の充実作『Montage』のリリース以降も、STRUGGLE FOR PRIDEのアルバム『YOU BARK, WE BITE』への参加などで話題を集めた彼女から、約2年半ぶりとなる新作『NUNKI』が届いた。プロデューサーに大友良英、ジム・オルーク、そしてヤン富田を迎えた本作は、ここ数年の歩みを深化させたラディカルな内容だ。伝統的和楽器である笙が発するドローン音がモワレのように広がる冒頭曲をはじめ、半数以上を手掛けた大友によるギターやハープ、サイン波などが織り成すミニマルでエクスペリメンタルな楽曲群はもちろん、そこに寄り添うミステリアスな歌声に漲る緊張感こそが本作の凄み。小山田のギターとドゥーピーズの多重コーラスが美しいヤン富田による“I'm in the rain”や、ジム・オルークによる楽曲たちを含め、本作は彼女がいまスリリングな季節の真っ只中にいることを伝えてくれる。