ファースト・アルバム『Sound by iLL』をリリースしたiLLによる語り下ろしオリジナル新連載がコチラ!! iLLこと中村弘二が、地球や宇宙のさまざまな深い神秘について語りつつ、そのシチュエーションにピッタリの5曲をリストアップしてくれます。神秘はどこにでも転がっている?かもしれない? 第十一回目のテーマは〈人工衛星〉編。下の〈iLLなプレイリスト〉を参照しながらどうぞ!!

〈人工衛星〉っていうテーマは解釈の幅があるから、あんまりバッドな話にはならずに、ちょっとレトロ・フューチャーな部分もありつつ、風刺も込めて(笑)……というのは冗談だけど、まぁ、色んなイメージが浮かんだかな。ルー・リードに“Satellite Of Love”っていう曲があるけど、みんなが思い浮かぶから、あえて排除しつつ、人工衛星って、物体として存在してるし、メカニカルだったり、作られる動機もわかりやすいじゃない? だから、テーマとしては楽だったかも。
ジグ・ジグ・スパトニックのこの曲は大好きで、これはセカンド・アルバムの曲。ルー・リードを封印したから、ほかに〈Satellite〉が付いたタイトルの曲を探してて、この曲に行き当たったっていう。この曲って、未来的なものを肯定しているような内容だし、子供の時に書くような未来の風景、パイプの中を走る車とか、そういうことがあったらいいなっていう願望が聞こえてくる曲だから、自分の中では肯定的な意味での人工衛星のイメージかな。ジグ・ジグは、馬鹿とインテリジェンスが同居してるような、インテリジェンスの方は良く分からないけど(笑)、単なる馬鹿じゃないってところが好きだったりして、最近のライヴをYouTubeで観たんだけど、ハードコア化してて、かっこよかったよ。まぁ、その音質が悪かっただけっていう話もあるけど(笑)、観に行きたいなって思ったくらい。
この曲はケミカル・ブラザーズの中でも機械的で、ロックとかダンス・ミュージック、あったかいとか悲しいとか、そういう音楽的な文法に則ってないし、曲そのものが人工衛星っぽいよね。だから、この曲は機械としての人工衛星だよね。ケミカルは……アルバムでいうと、『Surrender』は好きかな。その次の『Come With Us』は、まぁまぁまぁ。彼らの作品って、色んな音楽要素を摂取した末に作り上げられた音楽だから、ケミカルから得られるアイディアを自分の音楽に取り込んでも、しょうがないというか、逆によくないと思ってて、ミュージシャンの目線で聴くことはないし、完全にパーティー・チューンとして聴いてるね。この曲は特に風刺がないね(笑)。
ジェネレーションXのこの曲って、元の曲は“Dance With Myself”で、そのリミックスなんだけど、ダンス・チューンとして成立してる上手いリミックスだな、と。自分がDJだったら、クラブでもプレイしやすいし、流れを変えられる曲だなって思う。この曲って、DIY解釈のエレクトロ、ストリートなクラブ・ミュージックをやってるDFAの連中と通じるものがあるんじゃないかな。いいバンドだと思うし、もっと人気があってもいいバンドだと思うよ。人工衛星との関連は……そうだなぁ……まぁ、この機械的な感じが人工衛星っぽいなって気がするし、リミックスっていう手法それ自体も人工衛星が電波を送受信している感じというか、発信されたパーツが別の形で返ってくるみたいなところがあるなぁと思って選んでみたんだけど。
これはね、最初に聴いた時、なんて下世話な曲なんだって、感動したんだよね。覗きしてるみたい。色んなゴシップ週刊誌の塊みたいな曲(笑)。人工衛星も宇宙空間からえげつなくスパイしていて、俺らにはプライベートがない、みたいな感じってあるじゃない? だから、この曲は人工衛星のえげつなさに通じるものがあるかな、と(笑)。こういう下世話な曲、聴いてると頭が溶けるようなディスコ・チューンは書いてみたいよね。これはね、久々に嫉妬した曲でもあるね。途中で日本語のフレーズも出てくるんだけど、グウェン・ステファニーが、日本戦略のためにまじめな顔で「日本戦略するなら日本語も入れとこう」って言ってそうだし、これを出した後、すぐ、日本に来たじゃない? だから、曲の中でプロモーション・プランを見せてるみたいな。こんなこと本気で考えてんだ? だとしたら、怖いな~って(笑)。
自分の曲ですいません(笑)。曲を探してたら、人工衛星をテーマに曲を作ったことを思い出して(笑)。こういう機会でもないと、自分の曲を聴き直す機会ってなかなかないから。でも、久々に聴いたら、面白かったね。その時の自分ともう一度会えるわけだから、興味深い体験ではあるよね。今の自分って、この頃とは違うし、こういう曲は作らないだろうなって思うかな。当時は音から映像を喚起させる、聴いてる人にとっての直接的な分かりやすさを追求していたんだけど、最近はそういう感じでもないし、より隠れた感じ、裏テーマを表に出さないで表現するっていう方向性に向かっているよね。人工衛星って、まぁ、それだけに限った話じゃないけど、すべては軍事的な目的で生まれているからね。そういうことって忘れがちだったりするけど、便利なものって、兵器として利用するとこんなことが起きるんだっていうね、そういうことを想像すると、生き方も変わってくるんじゃないかな。
iLLなプレイリスト~人工衛星編~
1. SIGUE SIGUE SPUTNIK“Boom Boom Satellite”(『Flaunt It/Dress For Excess』収録)
2. THE CHEMICAL BROTHERS“Music Response”(『Singles 93-03』収録)
3. GENERATION X“Dancing With My Wealth”(『Anthology』収録)
4. GWEN STEFANI“What You Waiting For?”(『Love, Angel, Music, Baby』収録)
5. NYANTRA“SQUARE SPACE Good bye”(『COSMOS』収録)
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