ピアノを弾く女流シンガー・ソングライターとして新しきソウルの道を開拓したロバータ・フラック。レス・マッキャンの口利きでアトランティックに入社した彼女の音楽はジャズの薫りが濃厚で、ポップス名曲を取り上げながらアフロセントリックな視点をもって弾き語る初期の作品はニーナ・シモンに近い雰囲気もある。ここに挙げたファースト・アルバム『First Take』と3作目にあたる『Quiet Fire』は共にジョエル・ドーンの制作で、激しさを内に秘めた歌が胸を打つ。ダニー・ハサウェイとの共演盤も含め、この時代の彼女の〈黒さ〉は見直されるべきだろう。