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第194回 ─ 9 miles

連載
NEW OPUSコラム
公開
2007/08/30   16:00
更新
2007/08/30   17:39
ソース
『bounce』 290号(2007/8/25)
テキスト
文/荏開津 広

2007年のいまだからこそ生まれ得た、最高にレベルな音楽!


  はっきり書きましょう。bounceを読んでいる皆さん、このアルバム『Belly-Go-Round』は買って損はない。よく〈レゲエが好き〉とか〈ラヴァーズ・ロックが好き〉とか〈ダブを愛している〉と言います(僕も書いたことがあります)が、これは時間/空間的な理由で仕方がなく書いています。ダブだから=良い音楽、と言い切れればこんな楽なことはない。そのために〈レベル・ミュージック〉という用語が21世紀になって登場しましたね。これはなかなか言い得て妙な言葉ですが、レベル・ミュージックの規範たる大論文が(僕も含めて)書かれておらず、曖昧であることは否めません。そんな面倒臭いことを考えるのは野暮だという意見もありますが、野暮は承知でしょ。

  9milesは、ジャマイカの音楽にインスパイアされて音楽活動を始めたグループなのですから、オリジナリティー、真似、ジャンルとのバランスが難しい。レゲエの好きな部分を採り入れつつ自分たちの音楽を作る――こうやって書くのは簡単ですが、これはメロディーとリズムはもちろん、音響的に細かいところで決まってくる。例えば、UAの“プライベート・サーファー”という曲がこうした例の先駆けとしてある。僕があの曲の詞とメロディー、UAの歌声を好きでも、総体として聴くとまた違ってくる、ということもあり得る。ここで冒頭の文章を訂正しなければならない。というのは、レゲエはリズムの名前だから。そして、レゲエというリズムは憎めない、という人はいる。その意味で9milesの曲はレゲエやロックステディと言える。だが、そのコンテンポラリー性、2007年の日本で生まれる必然性が音に感じられるので、9milesは優れている、と言える。『Belly-Go-Round』は聴く価値がある、とオススメできる。どの曲も新鮮さとそこに到達するための費やされた時間と労苦が、結果として鮮やかな心地良い快適な時間と場所の経験を皆さんに約束する。読者の皆さん、オススメですよ、このCD。
▼9milesの作品を紹介。


2003年にリリースされたミニ・アルバム『万感の想いを込めて』(0152)