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第217回 ─ MUM

連載
NEW OPUSコラム
公開
2007/10/04   18:00
ソース
『bounce』 291号(2007/9/25)
テキスト
文/村尾 泰郎

メンバーを大幅に増強して作られた、かつてないほどポップな新作!


 結成から早9年、ムームがエレクトロニカ・シーンに与えてきた影響は大きい。先日ハリー細野に自宅スタジオでインタヴューした際、ボードにムームから送られてきた封筒がピンで止めらているのを発見したが、思えば細野さんのエレクトロニカへの興味を掻き立てたグループのひとつが彼らだった。しかし、ギーザ・アンナがグループを去り、昨年にはクリスティン・アンナが寿脱退(アニマル・コレクティヴのエイヴィ・テアと結婚)と、看板の双子姉妹を失って男2人ユニットになってしまったムーム。どうなることかと思ってたら、なんと5人のメンバーを補充して、総勢7人編成でニュー・アルバム『Go Go Smear The Poison Ivy』を完成させた。

 これまでどこか秘密めいた雰囲気を漂わせていた彼らだが、大所帯になったことで音の開放感が増したようだ。新たに加わったメンバーのほとんどがストリングスやトランペット、パーカッションなど生楽器担当で、そのセッションから生まれる穏やかなダイナミズムが新しい方向性を感じさせる。神秘的な谷間の霧が晴れたら美しいパノラマが広がっていた、そんな感じ。リズムはよりアグレッシヴになり、コーラス・パートも充実。曲は継ぎ目なく繋がり、電子音と生楽器、メロディーとノイズが遠い記憶の中でミックスされるような、マジカルな音響パーティーが繰り広げられていく。今作はムーム史上最高にポップなエレクトロニカ絵巻だ!