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第6回 ─ Romania

連載
グディングス・リナ の Delicious Dishes
公開
2007/11/15   21:00
ソース
『bounce』 292号(2007/10/25)
テキスト
文/グディングス・リナ

グディングス・リナが世界の〈音楽〉と〈料理〉のお皿2枚使いで贈る、〈音食同源〉コラム!!


  こんにちは、グディングス・リナです。今回の〈Delicious Dishes〉は題して、〈生活にまぶされた甘さと酸っぱさ――パパナッシはルーマニアのデザート〉。

 以前、わたしは“東京のジプシー”という曲を書きました。本来〈ジプシー〉という言葉は差別的であるという理由で放送禁止用語に指定され、昨今では〈ロマ〉というのが一般的。わたし自身、歌詞を書く際にもそのことは念頭にあったわけで、そういった背景や歴史の勉強のためにロマについての本なども読みました。それでもあえてこの言葉をそのまま使ったのは、それがある一民族のことを表わす用語として生まれた言葉でありつつも、そして確かに物理的に遠い国の異なる環境下にいる人々のことでありながらも、どこか他人事ではないように思われたからです。

 同時にネガティヴ・イメージだけでなく、ジプシー音楽がもつ生命力を自分の音楽の中に取り入れたいと思いながら作った曲でした。実際のところ、そんなキモチは独善的かもしれないけれど、でもわたしなりの正直な表現のカタチだったのです。

 彼らの音楽がこんなに胸を熱くするのは、〈何処の〉〈誰〉を越えて、人間の根っこから出ている、何か普遍のものを持っているからでしょ?

 今回紹介するローナとDJクリックもまた、実はロマ出身者ではなく、近いところにいる部外者。ロマの音楽に魅せられながら、ヨーロッパの都会で交差する民族のざわめきを電子音の上に散りばめています。

 彼らが魅せられているのもきっと、ジプシーの表面的な哀愁ではなくて……愉快で、ばかばかしくて、どうしようもなく生きている心地のする何かじゃないのかな。

 それは甘さと酸っぱさをまとっていて、ちょっと過剰な……ドーナッツにサワークリームとジャムをたっぷりのせたこのデザートにも似ているのかもしれないね。

パパナッシの詳しいレシピなどはこちら!
http://www.goodingsrina.com/blog/

今回紹介したいのは、ローナ・ハートナー/DJクリックの2005年の作品『Boum Ba Clash』(No Fridge)。パリのDJとルーマニアの女優が作り上げた、砂上の都市音楽!

PROFILE

グディングス・リナ
ヴァーサタイルなクロスオーヴァー・ポップをクリエイトするシンガー・ソングライター/トラックメイカー。タワレコ限定のミニ・アルバム『X』(Alian's Honey)がリリースされたばかり。さらに11月21日には待望のニュー・アルバム『大都市を電車はゆく』も登場!