ロンドンから東京へ拠点を移し、また新たな扉を開く彼女に注目!

水のように透明で、意識せずとも体内に浸透するような歌声の持ち主、Rie fu。その声は不思議な心地良さに満ちており、リスナーはまずそこに惹き付けられるだろう。
芸術を学ぶためロンドンの大学に留学していた彼女は、今年7月に卒業し帰国。活動拠点を東京に移して初めてリリースするアルバムが、今回の『Tobira Album』だ。サード・アルバムでありながらデビュー作のようなフレッシュさ、希望に胸躍るような明るさに溢れているのには、こうした背景が影響しているのかもしれない。
アコギやピアノを主体とした爽やかな質感の楽曲が並ぶ今作。なかでも茂木欣一(東京スカパラダイスオーケストラ)やASA-CHANGらが参加した一発撮りによるライヴ感がたまらない、ブリット・ポップ時代のブラーを想起させるサウンドの“sunshine of my day”、ミディアム~アップへと曲調がドラマティックに展開していく様が昂揚感を煽る“dreams be”など、これまでにないインパクトを持つ楽曲やアレンジにひねりを効かせたナンバーが散りばめられ、飽きることがない。
ふんわり軽く、サラリと吹き抜けていく風のような清々しさもありながら、かといってそのまま素通りするのではなく、歌に込められた情感をしっかりと肌に残していく――まるでジョニ・ミッチェルの名作『Blue』のような趣のあるこのアルバムには、Rie fuが新たなステージへ進む扉の鍵が隠されている。それは単なるサウンド面での進化というだけではなく、歌声を通して感じられる彼女の気概、〈芯〉みたいなものが、次に繋がる扉を開くに違いないからだ。
▼Rie fuの作品を紹介。