NEWS & COLUMN ニュース/記事

第286回 ─ 空気公団

連載
NEW OPUSコラム
公開
2008/01/24   22:00
ソース
『bounce』 294号(2007/12/25)
テキスト
文/ヤング係長

10年間の軌跡を辿った〈オール新録〉のベスト盤に感動!

  活動10周年を迎えた空気公団による、ファンへの感謝を込めた記念盤『空気公団作品集』が登場した。〈作品集〉とはいえただのベスト・アルバムではなく、全14曲は2003年までに発表した曲+未発表曲をすべてニュー・アレンジでレコーディングし直したもの。穏やかな曲が揃っているのに、それらの端々から頑としてマイペースにしか活動してこなかった彼らの、揺るぎない姿勢が感じられる。ラフなミックスのライヴ音源“ハナノカゲ”や、クラムボンのmitoを迎えたインスト“休日”など、意外な聴きどころは多数。だが、このバンドの本質を伝えるのは、そういったイレギュラーな事象ではなく、〈何でもないこと〉が音楽で表現されていることの凄さなのだろう。レコーディング前のカウントも収録していることすら作為ではなく、スタジオに流れる空気を受けた〈音楽〉として聴こえてくる。隙間だらけの少ない音数、なおかつアコースティックな音像で、ここまで豊かに〈音楽〉を表現するバンドの存在は本当に貴重だ。あらゆる場面で〈作品の品質〉が価値の最上位ではなくなって久しいけれど、いまの時代に空気公団がいてくれて良かった――そう思わせてくれるアルバムだと言い切ってしまいたい。


2001年作『融』(トイズファクトリー)


2003年作『こども』(coa)