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第300回 ─ Cat Power

連載
NEW OPUSコラム
公開
2008/02/21   19:00
ソース
『bounce』 295号(2008/1/25)
テキスト
文/岡村 詩野

〈ジュークボックス〉さながらに、さまざまな楽曲が飛び出すカヴァー集!


  この『Jukebox』は、カヴァー・アルバムとしては2枚目にあたる(オリジナルの新曲も収録)。キャリアのわりにはトリビュート的な企画にチャレンジすることも多い人で、つくづくキャット・パワーことショーン・マーシャルは他アーティストの曲を取り上げるのが好きな、リスナー指向の強いミュージシャンであることがわかる。だが、2000年にリリースされた『The Covers Record』がピアノやギターだけを手に訥々と歌ったストイックな内容だったのに対し、今作はダーティ・スリーのジム・ホワイトやジュダ・バウワーらによる粘り気のあるバンド・サウンドによってしっかりと作り込まれており、とりわけ近年のツアーで養った彼女のブルース趣味が明確に表出された仕上がりになっているのが良い。

 さらに改めて気付かされるのは、この人は女性アーティストの曲よりも男性ヴォーカルをカヴァーしたほうが圧倒的に輝くのではないか、ということ。例えばここではビリー・ホリデイやジャニス・ジョプリン、ジョニ・ミッチェルの曲を披露しているが、個人的にはフランク・シナトラやボブ・ディラン、ハンク・ウィリアムスのナンバーがもっとも彼女の資質に合っていると思った。ベス・オートンと並ぶ低血圧系の女性ヴォーカリストの最右翼だが、内面は案外〈男前〉な感性の持ち主なのかもしれない。

▼キャット・パワーの作品を紹介。