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第39回 ─ ジン

連載
SPOTLIGHT!
公開
2008/02/28   22:00
ソース
『bounce』 296号(2008/2/25)
テキスト
文/宮本 英夫

独自性にさらなる磨きをかけ、彼らにしか生み出せない世界が誕生!


  ファースト・アルバムのリリースが20歳の頃だったから、メンバーはいま21歳ぐらいだろう。それにしても若いが、この年代にとって1年間の成長スピードは驚くべきもので、前作『レミングス』の衝撃を超える作品が現実に目の前にある。ジンのセカンド・アルバム『QUALIA』は、持ち前の自由奔放なアイデアや若者ならではの衝動の上に、より突き詰めた思考と確信をプラスした揺るぎない作品となった。

 轟音ギターのパートとミニマルなリフが支配する静かなパートとが交互に表れる、ジンらしいドラマティックな曲“フーガ”~“Vuena Vista”でアルバムは幕を開ける。ギター・シンセを駆使し、時にU2のエッジさながらのリフを披露したり、時にファンキーなタッチで攻めたりと変幻自在のプレイを聴かせ、曲によってはマンドリンも弾いてしまうハルカが凄い。ドラムとベースはそれをしっかりと支える心臓のパルスだ。また、太くうねるパワフルな歌唱が特徴のひぃたんによる歌が愛らしい“ハネリ”、そしてストリングスが入って軽くスウィンギンな“スノーマン”は、子供の頃の夢を大人になっても忘れたくないというピュアな思いを童話のように優しく描いた詞も素晴らしい。中盤にはミッドテンポの曲が並び、前作を上回る聴きやすさと音楽性のヴァラエティーが光る。さらに“獅子の種”ではふたたび得意の爆音と静謐、ハードコアとポップが混ざるトリッキーな演奏も冴え、ラストの6分を超える堂々たるロック・バラード“パンドラ”で幕を閉じる。

 大人になること、生きていくこと、地球のこと、生命のこと――ひぃたんの書く歌詞と、イマジネーションを刺激する演奏が重なって、すべて聴き終えた時の深い余韻は例えようもない。ジャンルでは分けられない、ジンという名の音楽の完成である。

▼ジンの作品を紹介。