『コリアンドル』 ビクター(1991)
屈折した音楽センスをブチまけた初のソロ作。大曲“迷宮入り”ほか、鬼才というイメージを投影するのにピッタリな楽曲がひしめいているが、そんななかで叙情味を持った表題曲が特殊な光彩を放つ。この揺れの激しさって、何だかトッド・ラングレンっぽい。
『森の掟』 スピードスター(1996)
穏やかで柔らかな楽曲と激しく硬質な楽曲が違和感なく混在し、曖昧に溶け合っている2作目。上田現の世界を紐解くためのキーワードである〈ジャングル〉を明確に音像化したエポックなアルバムである。スケールのデカい表題曲は、上田流メルヘンの結晶的な一曲。
『夕焼けロック』 BELO(2001)
3作目は突き刺すようなロック・チューンもあるけれど、セピア色した人懐っこいメロディーの表題曲をはじめ、優しい表情のポップなナンバーが揃っており、彼の作品中でいちばん和める一枚かも。ラストの“北京の蝶”における絶唱には毎度鳥肌が立つ。

『十秒後の世界』 ソニー(2003)
“コリアンドル”“北京の蝶”“ワダツミの木”といった名曲のセルフ・カヴァーも収めた4作目。メロディーメイカーとしての才能を実感するのに適したアルバムと言えるが、人生観や審美眼が明瞭に表現された詞世界も含め、集大成的な内容を持つ一枚である。