グディングス・リナが世界の〈音楽〉と〈料理〉のお皿2枚使いで贈る、〈音食同源〉コラム!!

小学校や中学校の席替え時、班のなかで〈自由に自分の席を選んで良いですよ〉ということがあったりすると、わたしは最後の列の端っこ(窓側なら尚良し)を切望したものです。最後列と端っこは万人にとって居心地の良いポジショニングかと思っていたら、さにあらず。班内で主張すると、誰もが意外と気前良くその席を譲ってくれたのでした。先生の目が届きにくい端っこの席は、授業中いかに他のことをするかばかり考えていたわたしにはうってつけの場所でした。そして前の席は常に後ろ姿を誰かに見られているわけですが、これが最後列だと背後をとられず(スパイか?)、加えて端っこならオセロの角でも取ったような安心感が……。ついでに、見渡す限りの背中と遠くてよく見えない黒板は、教室内のささやかなアウトロー感も演出してくれました。
なんて席替え程度はちっぽけな問題にしても、要するに端っこには独特の魅力があったのです。これが故郷や国の位置関係となると、宿命的な性質を帯びてくると思うのはわたしだけでしょうか? 最近青森に旅したのですが、本州の最北という土地、そこでもずっとそんなことを考えたりしていました。端っこの磁場。端っこの裏表──。
今回紹介するアルゼンチンも実は極南の国であり、そんな風に眺めてみると見えてくることがあります。南米にありながら、隣にブラジルという音楽大国がありながら、我関せずの濃厚なヨーロピアン・ムード。それは大量の欧州からの移民が形成したものであり、マスたる彼らの文化とマイノリティーとなってしまった土着の文化を一緒くたには語れないけれど……。いずれの音楽も元あるべき場所から遊離して、はからずも遠距離で燃え上がる恋愛みたいに純粋で、偏っている! 嗚呼、広い空からじわわんと滲んだような色気よ。パンパでガウチョが育てた牛の肉を、エンパナーダにして頬張った身体、その肉食っ気。血の気がいわゆる陽気で明快なラテン音楽とは異なる表現へと向かうのは、〈南米のヨーロッパ〉という自負? 揶揄?……もさることながら、やっぱり端っこという磁場の力も働いているような気がしてならないのです。
エンパナーダの詳しいレシピなどはこちら
http://www.goodingsrina.com/blog/
RECIPE エンパナーダといっしょに堪能したい、今月のDelicious Dishes!!!
CAFE DE LOS MAESTROS 『Soundtrack』 Deutsche(2008)
貧しい移民のフラストレーションのはけ口として、酒場で生まれたというタンゴ。世界にはこんな艶かしいレベル・ミュージックもあるのです。このタンゴ・ドキュメンタリー映画、かなり観たい!
JUANA MOLINA 『Segundo』 LAM/Domino(2001)
つい先日、新作が出ましたね。ここでは彼女の代表作、ジャケも魅力的なセカンド・アルバムを音響派の入門に。アコースティックとエレクトリックの絡み合いが夢心地。ちなみにライヴもとっても素敵でした。
CHANCHA VIA CIRCUITO 『Rodante』 ZZK(2008)
どストライク~。今月の紹介盤は全部スキすぎるのですが、特にこのデジタル・クンビア盤はダビーな指向がハッキリしているぶん、かなり聴きやすい&いつまでも聴けちゃうのです。仕事もはかどるるます。
PROFILE
グディングス・リナ
ヴァーサタイルなクロスオーヴァー・ポップをクリエイトするシンガー・ソングライター/トラックメイカー。カヴァー・アルバム『The Nightbird』(ビクター)も大好評! また、12月20日には東京・AIRでDJを、12月26日には東京・ROCKWESTでライヴを行う予定!!