クラウト・ロックの伝説はまだまだ続いている!
70年代のドイツで活動していたカンやノイ!などの特異なバンドたち、いわゆるクラウト・ロック勢のなかでも、もっとも既成の音楽観から逸脱したサウンドを指向していたのがファウストだ。カットアップやコラージュの多用、反復するリズム、即興演奏によるノイズの創出など、一見カオティックな素材の集積のように思える彼らの音は、裏打ちされた強固な作為の力でサイケとは真逆のクールな覚醒に支配されている。言っておくが、〈ポスト・ロック〉などという言葉が流布する20年以上も前の話だ。
74年に活動を停止したファウストは80年代末に突如復活。ジム・オルークとつるんだ95年作『Rein』以降は精力的にライヴ音源やリミックス盤などをリリースしてきたが、ついに今年、ライヴ・アルバム『Schiphorst 2008』に続き、スタジオ・アルバムとしては99年作『Revvivando』以来となる新作『C'est Com...Com...Complique』を上梓した。すでに壮年バンドといってもいいが、不穏な響きを放つエレクトロニクスやメタル・パーカッションが飛び交う、悪意と諧謔が充満した衰え知らずの攻撃的なサウンドが恐ろしい。バトルスなどを愛好する若いリスナーにこそぜひ聴いてもらいたい逸品だ。